まずはこれ食べて
原田 ひ香
双葉社
2019-12-18


アラサーの池内胡雪は、大学の友人たちと起業したベンチャー企業で働き、多忙な毎日を送っている。不規則な生活のせいで食事はおろそかになり、社内も散らかり放題で殺伐とした雰囲気だ。そんな状況を改善しようと、社長の提案で会社に家政婦を雇うことに。やってきた家政婦の筧みのりは、無愛想だが完璧な家事を行い、いつも心がほっとする料理を振る舞ってくれる。筧の食事を通じて、胡雪たち社員はだんだんと自分の生活を見つめ直すが…。人生の酸いも甘いもとことん味わう滋味溢れる連作短編集。

アットホームなベンチャー企業にやってきた美味しい料理を作る家政婦さん。
美味しそうな料理が登場してほっこりするお話なのかと思いきや、段々不穏な空気になっていったので驚きました。
ベンチャー企業の中でしこりのように残っている姿を消したかつての仲間。そして家政婦さん自身の秘密。それがまさか繋がっていくとは思いませんでした。
しこりの男←は自分の能力をちゃんと使えばいくらでも良い人生を生きられるような気がするのに、ゲスイ奴でしたねー。要は寂しかったんですよね。それを悪い方悪い方へと持って行って自分でがんじがらめになったような気がしました。自業自得です。
最後はすっとしました。
みのりさんの作るご飯はとても美味しそうだし、お話も楽しそう。またどこかでみのりさんに会いたいです。

<双葉社 2019.12>2020.4.6読了