宮部みゆきのライフワーク <三島屋変調百物語>シリーズ第6弾
江戸は神田の袋物屋・三島屋で続く、一風変わった百物語。 これまで聞き手を務めてきた三島屋主人・伊兵衛の姪のおちかが、めでたく嫁にいったので、次なる聞き手は伊兵衛の次男・富次郎に。
気さくで気がよく旨いもの好き、跡取りではないから「小旦那」と自称する富次郎。 おちかが聞き手だったころ、ふとした縁の導きがあって三島屋に入り、百物語の守り役となったお勝。富次郎が幼いころから三島屋に奉公してきた古参の女中、おしま。この三人で語り手を迎え、新たな百物語の幕が開く。
再会した友が語り始める一家離散の恐ろしい運命(第一話「泣きぼくろ」)
村の女たちが<絶景の丘>に登ってはならない理由(第二話「姑の墓」)
妻子を失った走り飛脚が道中めぐりあう怪異(第三話「同行二人」)
異形の屋敷に迷い込んだ者たちを待つ運命(第四話「黒武御神火御殿」)
「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」 怖ろしくも愛おしい極めつきの怪異と不思議。 心揺さぶる江戸怪談、新章突入!

おちかがお嫁に行ったことで、聞き手がおちかから富次郎に変わりましたね。
おちかも最初は慣れていなかったと思いますがもう忘れてしまって^^;富次郎のちょっとおろおろしている感じが可愛らしかったです^m^それでも最初のお話は幼少に共に過ごしたはっちゃんこと八太郎。八太郎の家族がバラバラになった経緯を語ります。やはりお父さんが原因だったのでしょうか。それともただ男に恨みを持つ女がこの家族に乗り移ってしまったのでしょうか…。それでも八太郎が今は幸せで良かったです。
そして「姑の墓」こちらも一家離散のようなものでしたね。箱入り娘であるお嬢様がお嫁に来て、それでも姑は優しく親切で、何もなければ本当に幸せな家庭を築いて行けたはずです。切なかったなぁ。
表題作が1番メインで長い作品でしたね。これで1冊分くらいありそう。このお話が1番最初じゃなくて良かったですね^m^何らかの罪を持った6人が呼ばれた屋敷。次々に屋敷にいる鎧の男に殺されて人数が減っていく。怖いですよね。
富次郎の推理、私も正しいと思います。甚三郎の罪だけは人に害を及ぼしていないから。それでもお秋が助かって良かった。甚三郎も改心して生きられて良かったです。
最後のお話はとても辛くて重たいものだったけど、富次郎はちゃんと自分の心に秘め、自分の役割をちゃんと果たしたし、これからも続けていこうと思えたのではないかなと思います。今後も楽しみです。
そしておちかと勘一も登場しましたが、仲睦まじい感じが垣間見えて素敵です。今後も登場してきてくれたら良いなぁ。

<毎日新聞出版 2019.12>2020.2.19読了