小さな活版印刷所「三日月堂」。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった言葉―。弓子が幼いころ、初めて活版印刷に触れた思い出。祖父が三日月堂を閉めるときの話…。本編で描かれなかった、三日月堂の「過去」が詰まった番外編。
シリーズ5冊目なんですね。こちらは全て番外編。そしてすべて過去のお話です。
1番古い過去から少しずつ現代へ向かっていく形なんですかね。
弓子の祖父が三日月堂を営んでいた頃。弓子の両親の馴れ初め、弓子の母の死、そこから前を向くまでの父親の姿。祖父母との別れ、そして父親との別れ。
過去の話だからか別れも多かったですね。それは「離婚」であったり「死」であったり。離婚は1組だけか^^;あれは離婚して正解ですよ。ようやく飛びたてるんだなと思いました。
弓子の両親の馴れ初め素敵です。星に宮沢賢治に活版。まさに「銀河鉄道の夜」じゃないですか。読んでいるこちらもドキドキしました。
両親に祖父母に愛されて育った弓子。でも、みんな早くに旅立ってしまって。
仕切り直しというか、切り替えというか、それで自分が幼い頃に過ごした場所へ引っ越すというのは良かったのかもしれないですね。ここからまた物語が始まっていったわけですから。
このシリーズを思い出しながらの読書になりました。優しくて温かい物語でした。
<ポプラ社 2019.12>2020.2.4読了