斬新な発想とダジャレで地域に奇跡を起こす―。日本一人口が少ない小さな県が実践する「鳥取型民主主義(デモクラシー)」とは何か?山陰「砂丘の国」のポジティブ戦略を徹底紹介。地方から国を変えた地方創生の「原点」をすべて公開する。

「スタバはないけどスナバはある」の発言で鳥取県の知名度を上げた平井知事の著書です。
メディアによく登場し、ダジャレなどを言う面白い知事という印象がありましたが(失礼)それすらも戦略だったのだと知らされました。日本一小さな県だからメディアに出る時はこれでもかと県のPRをして印象を残す。そのためなら恥もかく。いい意味で政治家らしくない、市民に寄り添った知事だと思います。
また知事になられてからの動きが凄すぎます。
企業誘致や移住促進に奔走し、「子育て王国」を標榜して自然体験ができる「森のようちえん」の設置、県全域で高校三年生までの小児医療費の無償化、小中学校の全学年少人数学級化、未来人材育成基金の創設(奨学金の返還支援)、「まんが王国」として「水木しげるロード」「コナン通り」を整備、米子空港と鳥取空港の名称変更、高速道路の整備、新規就農者の収入保証、鳥取県版経営革新制度の創設。予算編成における知事の一発査定の導入、次長ポストの廃止、県職員の人件費抑制、女性幹部の登用、全国トップレベルの情報公開、シナリオなしで議論する県議会、住民投票を含む県民参画基本条例の制定。
そして日本初となる、危険ドラッグを禁止する薬物乱用防止条例改正、周辺地域としての原子力安全協定締結、手話言語条例の制定など。
読んでいて小説じゃないのに読む手が止まりませんでした。読み進めていけばいくほど新しい事が生まれている。しかも日本初もたくさんあります。国政がしり込みしていることを鳥取県が果敢に挑み、国をも動かしている。その事実に驚きました。私は小さな市の一公務員ですが、公務員だからこそ驚くこともたくさんありました。
ポテンシャルの高さにとても魅力を感じます。鳥取で働き、住んでみたいと思う1冊でした。

<中央公論新社 2016.9>2019.10.19読了