東野圭吾の最新長編書き下ろしは、「家族」の物語。
「死んだ人のことなんか知らない。あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」
ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。
閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。
最初の方に松宮刑事の名前だけ登場して、この名前どこかで聞いたことがあるな…と思ったら加賀刑事の従兄弟でしたね。今回は松宮刑事が活躍します。
テーマは「家族」内容を知らずに読んだのですが、今回も重たくて辛いものでした。
被害者は本当に可哀相で運が悪かったとしか言いようがないのですが、加害者も悪人ではない。そしてその関係者たちも家族に対して様々な想いを抱えていました。
いろんな偶然が重なって起きた悲しい事件だったのかもしれません。
そして松宮刑事自身の問題も登場。加賀刑事とお父さんの話は何となく覚えていますが松宮刑事の事は全然覚えていませんでした^^;母子家庭でしたっけ?←
色んな形の家族と愛がありました。残された家族たちは希望が見えたと思います。
誰かの代わりに生まれてきたと思っていた少女。凄く辛い境遇だと思うけどそれでも素直に真っ直ぐ育って良い子でした。最後も感動的でした。
名前を言っていないから何を言っているかわかりにくいですが、何かを言うとネタバレになってしまいそうなので書きませんでした^^;
<講談社 2019.7>2019.10.14
加賀は日本橋署にいたのですが、3年前に警視庁捜査一課に異動になり、松宮と同僚になっています。
お話の方は、汐見夫妻が地震で二人の子供を亡くすシーンから始まりますが、まずここの描写だけで物語に引き込まれます。
そして、一転して金沢で老舗旅館を営む女将の芳原亜矢子が、癌で死期が近い、父の遺言を見る場面が描かれます。
父には松宮脩平という、違う母から生まれた息子がいる事を知ります。
そして、中心となる事件が描かれるのですが、自由が丘で喫茶店「喫茶弥生」を営む、花塚弥生と言う51歳の女性が刺殺された事件に入ります。
ここから、事件の捜査と芳原と松宮の関係という、二つの話が進行していきます。
そのどちらにも共通するのは、"親子の関係"。
世の中には数多くの親子が存在しているのですが、いろいろと難しい問題を抱えた親子も結構いるんでしょう。
ミステリとして読むと期待は裏切られると思いますが、"親子の関係"を考えさせられる話です。
ただ少し、多くの事を詰め込み過ぎたかなという気もします。
汐見夫妻と萌奈、綿貫と多由子、そして弥生、これだけでも十分なのに、松宮の話はどうなんでしょうか。
でもいろいろと切なくなる話でした。