「私たちはずっといっしょだ」――この場所で起きた、彼女たちのすべて
校庭の一角を占める<プラントハウス>。温室植物たちを管理するのは、他の誰にもない存在感を放つ蘇芳キキただ一人だった。しかし彼女は姿を消してしまう。ある事件と共に……。その記憶を、いま綴ろうと思う――。
森さんの作品は文章がとても綺麗で引き込まれます。
今回のテーマが植物ということで女性同士の恋愛が「百合」と呼ばれることからそちらも取り入れたということがあとがきに書かれていてなるほどと思いました。そこまで植物に徹底してたのですね。
蘇芳キキたちが高校生だた10年前の語りは同級生の若宮波留花。波留花目線で物語は進んでいきます。
各章に長いタイトルがついていてそれを読んだだけでそう言うことが起きるのかと分かるくらいの文章^^;
波留花は学校でいじめを受けていて、そのいじめを止めてくれたのがキキであり、それからキキという人物に興味を持ち始め恋愛へと発展していきます。その展開も気になりますけどそれよりも波留花の家庭環境がツッコミどころが満載過ぎて辟易しましたよ。父親は市議会議員という肩書をフル活用して悪用して生きているように見えるし、母親は波留花をゴミのような扱いをする。学校よりも家での生活の方が辛いですよこれは。まあそれもあってキキを心の拠り所にしていったんでしょうね。
ただ、先ほどの何が起きるのか分かるくらいの各章の文章は後半になると確かにそれが起きてるけど!え!?っていう急展開が起きてビックリ…。頭が付いていきませんでした。読み返しましたよ…。
最後はあれで良かったのかなぁ…。切なくて哀しい。そして騙された感が残りました←
<KADOKAWA 2019.7>2019.8.30読了