さよならの儀式
宮部みゆき
河出書房新社
2019-07-10


親子の救済、老人の覚醒、30年前の自分との出会い、仲良しロボットとの別れ、無差別殺傷事件の真相、別の人生の模索……淡く美しい希望が灯る。宮部みゆきの新境地、心ふるえる作品集。
「母の法律」
虐待を受ける子供とその親を救済する奇蹟の法律「マザー法」。でも、救いきれないものはある。
「戦闘員」
孤独な老人の日常に迫る侵略者の影。覚醒の時が来た。
「わたしとワタシ」
45歳のわたしの前に、中学生のワタシが現れた。「やっぱり、タイムスリップしちゃってる! 」
「さよならの儀式」
長年一緒に暮らしてきたロボットと若い娘の、最後の挨拶。
「星に願いを」
妹が体調を崩したのも、駅の無差別殺傷事件も、みんな「おともだち」のせい?
「聖痕」
調査事務所を訪れた依頼人の話によれば----ネット上で元〈少年A〉は、人間を超えた存在になっていた。
「海神の裔」
明治日本の小さな漁村に、海の向こうから「屍者」のトムさんがやってきた。
「保安官の明日」
パトロール中、保安官の無線が鳴った。「誘拐事件発生です」なぜいつも道を間違ってしまうのか……

8編からなる短編集。どの作品も近未来のようです。理解できたものもあればよく分からないものもあり^^;
でもこれだけの世界観を書かれるんですから流石宮部さん。と思いました。
「母の法律」「戦闘員」「聖痕」が特に印象的になっているかな。面白かった。
「母の法律」のマザー法はなるほどと思う法律です。でも、救いきれないものもある。
「戦闘員」は妻に先立たれた老人が監視カメラにいたずらをしている少年を見つけたところから物語は始まります。犯人捜しの話かと思ったら事態は思わぬ展開になります。老人と少年は良いバディになるかもしれないですね。
「聖痕」は切なくて哀しかったです。少年Aはちゃんと更生して生きていたのに。そのまま生きていってほしかったです。…って!この作品は以前「チヨ子」という作品に掲載されていたらしいです…。しっかり感想を書いているのに私、全然覚えていませんでした^^;8年前に読んだ短編なら忘れてもしょうがないですよね←

<河出書房新社 2019.7>2019.8.26読了