私はこの手で、どこまでいけるのかな―。夕陽ノ丘高校「エステ科」2年園部友麻の毎日は、なんだかとっても波乱万丈。美容科・看護科・調理科など職業に関わる学科が揃う「仕事を学ぶための高校」で、疲れたお母さんを癒すためエステティシャンを目指す友麻。実家が離島で寮暮らし、家は貧乏で、肝心のお母さんは行方不明でも、楽しい学園生活を満喫中!世間の価値観に振り回されず、素の自分のままで問題にぶつかっていく彼女がたどりついた場所とは―。オタク、ツンデレ、ギャル、ジコチュー…すべての青春を肯定する成長物語。

友麻は島の出身で生まれた時から父親がおらず、奨学金で高校に通っているため貧乏で、更に高校入学と同時に母親は島から出て行方不明に。そんな境遇であるにもかかわらず友麻はとても前向きで日々一生懸命に生きているなと眩しく感じました。
周りの子たちもちゃんと自分を持っていて、将来も見据えていてしっかりしているなと思いました。だからみんな言いたいことを秘めずに言っちゃうのかな。
2年生で同室になったこづえちゃんは友麻の事をあからさまに避けていて、始めはどうなるかと思ったけど、ちゃんと理由が分かるととても素直でいい子なんだなと思えました。
友麻の高校生活は専門学科だから少し特殊だけど、青春って感じでしたねー。
友麻に告白した男の子に関しても青春。でも、ちょっと真っ直ぐすぎて周りが見えてなさ過ぎて自分の事しか考えていなくて大人になれと思ったけど(言い方酷い)
越智の真っ直ぐすぎる友麻に対する意見もなぜか私も傷つくくらいに^^;酷いと思ったけど、わだかまりがないのはやっぱりみんな素直で言いたいことをちゃんと言えるからなんだろうな。
中でも友麻は本当に素直ないい子。
その真っ直ぐさを育てたであろう島の中には友麻に隠し続けていたこともあって不穏なこともあってそれが消えることは恐らくないのだろうけど…。でもそれは仕方がないで片づけないでほしかったな。それこそ仕方がないのかもしれないけど…。友麻のお母さんが可哀想すぎました。
読んでいて私も友麻には幸せになってほしいなと思いました。
それでも学校内でもそれ以外でも、味方がたくさんいるみたいで良かったです。冬休みのあれこれ、めちゃくちゃ楽しそうでした。西谷さんの「俺はしばらく死なないから」という言葉にじんわりしたし、こづえの兄の亨も格好良かったですね。
あっという間に読んでしまいましたが、読み終わるのがもったいないくらい、面白かったです。

<新潮社 2019.7>2019.8.19読了