あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続
著者:宮部 みゆき
KADOKAWA(2018-04-27)
販売元:Amazon.co.jp

江戸は神田の筋違御門先にある袋物屋の三島屋で、風変わりな百物語を続けるおちか。 塩断ちが元凶で行き逢い神を呼び込んでしまい、家族が次々と不幸に見舞われる「開けずの間」。 亡者を起こすという“もんも声”を持った女中が、大名家のもの言わぬ姫の付き人になってその理由を突き止める「だんまり姫」。屋敷の奥に封じられた面の監視役として雇われた女中の告白「面の家」。百両という破格で写本を請け負った男の数奇な運命が語られる表題作に、三島屋の長男・伊一郎が幼い頃に遭遇した椿事「金目の猫」を加えた選りぬき珠玉の全五篇。人の弱さ苦しさに寄り添い、心の澱を浄め流す極上の物語、シリーズ第一期完結篇!

帯に第一期完結と書かれていたので、おちかの身辺に変化があるんだろうなと思っていました。最近切ないお別れをしたばかりなのにそんなに急な展開が起こるのかなと思ったのですが、起こりましたね。そして別に急でもなかった。
「開けずの間」
一族が末っ子を残して全員亡くなってしまったその真相。一番初めの話が悲しかったですね。人間にはどうしても欲がある。そしてそれを利用する妖。ぞっとしました。それでも生き延びた末っ子である語り手が幸せに暮らしていたのだからそれが救いだったのかなと思います。
「だんまり姫」もんも声を持った女中だった語り手の話。声のせいで地元を追われ翻弄された人。それでも人柄がいいからか今で言う手話によって老夫婦に寄り添い、声の出ない姫に仕えることになった。可愛らしいお話でした。
「面の家」このお話も怖かったですね。災いを起こす面を守る家での話。三島屋も家事の被害を被りそうになりましたが、被害が無くて良かったです。
「あやかし草紙」三島屋の次男富次郎と仲の良い貸本屋の若旦那勘一が語る話。この話が尻切れトンボでおや?と思い、おちかもそう感じますがそれが伏線になっているとは思いませんでした。それにしても貸本屋で勘一という名前はどこぞの誰かを思い出しちゃいますよね。作者さん違いますけど。そして6度嫁いだ女性の話。こちらは怖くはなかったですが数奇な運命を背負っていたけど、それでも前を向いて生きてい姿に私も元気づけられたような気がします。
「金目の猫」三島屋の長男・伊一郎が語る昔話。富次郎は辛い過去だったから忘れてしまっていたんですね。少し切ないお話でした。それでも最後は本当に良かったねぇと思わずにはいられませんでした。おちかの境遇は本当に哀しくて切なかったから。ご家族も幸せそうで良かったです。第一期が完結ということはまた続くということですね。次回新刊が出る時はきっと、三島屋もおちかも気っと変化しているのだろうなと思います。それも分かったら嬉しいです。次回からの第二期も楽しみにしています。

<KADOKAWA 2018.4>H30.10.27読了