くらげホテルくらげホテル
著者:尾崎 英子
KADOKAWA(2018-05-31)
販売元:Amazon.co.jp

「本当なんですかね……ここに、異次元の世界があるって」
フィンランドの「ホテル・メデューサ」で出会った、日本から来た、年齢も性別もばらばらな4人。
人を(たぶん)殺してしまった男、何もかもうまくやれない女、妻に先立たれた男、子育てを終え第二の人生を始めた女。皆それぞれの事情でこの地にやってきていたが、共通しているのはどうやら、「異次元」や「メデューサ/くらげ」といった言葉、そして、地味にファンがいるお菓子「くらげキャラメル」に導かれて、ということのようだった。
さえざえと美しいフィンランドの森で、強い風が吹き抜ける。そして「向こうのほう」から来た、スミレという女性が案内したのは……。
異次元なんてあるわけない、けれど、あるかもしれない。この世界の、「本当の本当のこと」って、なに?
あなたは、異次元に行けるよと言われたら、行ってみますか? (フィンランド経由で)
ちりばめられたユーモアとフィンランドの空気に、心がすうっと楽になる、世界が広がるサプリ小説。

タイトルとあらすじに惹かれて手に取った作品です。初読みの作家さんでした。
それぞれ想いを抱える性別も年齢もバラバラな日本人4人が集まった場所はフィンランドのホテル・メデューサ。ここに導かれたのは偶然か必然か。
個人的にムーミンが大好きだし北欧雑貨が好きなので、まずフィンランドという国が登場したことで興味をそそられました。
フィンランドへはもちろん行ったことが無いですが、文章からこの物語で登場した場所が何だか幻想的で素敵なことが伝わってきます。
4人は素性が本当にバラバラだったけど、年配者二人の生き方が素敵だなと思いました。
典江さんが本当に素敵。旦那さんとの関係も、息子さんとの良い距離感も良いなと思いました。旦那さんと2人きりになった時、こんな会話ができるのが理想です。
多聞を若者と言って良いか分からないけど若者2人は未練があったのかな…。
考え方の違いもあると思うけど、でも、それぞれ自分の考えた意見が正解なのだと思います。心地良い気持ちになれる作品でした。

<KADOKAWA 2018.5>H30.10.5読了