名探偵誕生名探偵誕生
著者:似鳥 鶏
実業之日本社(2018-06-01)
販売元:Amazon.co.jp

「神様。どうか彼女に幸福を」
――王道かつ斬新。似鳥鶏が放つ直球の青春ミステリー!
となり町の幽霊団地に謎の「シンカイ」を見に行く――
小学4年だった僕は、学校の友だちとささやかな冒険に出た。
その冒険に不穏が影が差したとき助けてくれたのが、名探偵の「お姉ちゃん」だった。
彼女のとなりで成長していく日々のなかで、日本中を騒がせることになるあの事件が起きる――。
ミステリとしての読み応えと、青春小説としての瑞々しさが高純度で美しく結晶した傑作。著者ならではの軽快な筆致で読みだしたら止まらない、老若男女すべての方におすすめしたい作品です。
「名探偵の初恋と青春。だけど、誰もがちょっとなつかしい、『あの頃の僕』のお話しです」――似鳥 鶏
第一話 となり町は別の国
第二話 恋するドトール
第三話 海王星を割る
第四話 愛していると言えるのか
第五話 初恋の終わる日

装丁の男の子がイケメン!とまずそこが気になったこの作品←
主人公はこの装丁の男の子、星川瑞人。名探偵の「お姉ちゃん」は近所に住む7歳年上の女の子、波多野千歳。この物語はほぼ探偵役は千歳の方です。
第一話では小学校4年生と高校2年生だった2人が、話が進むごとに4つずつ歳を重ねていくという流れも新鮮でした。
そしてその過程には意味があり、瑞人と千歳が事件にかかわっていくことで、瑞人は千歳から探偵としてのポイントを学んでいきます。
千歳という女性がとても魅力的。聡明で美人で強い。こんな存在が身近にいたら、そりゃぁ同級生の女の子なんて眼中にないですよね、みーくん。でもたぶん、自分が千歳しか見ていないから気づいていないだけで結構モテる子なんじゃないかなと勝手に思っていたのですが…。どうなんでしょう。
年齢を重ねても千歳への想いは変わらず、それが健気で可愛かったけど、2人の関係はきっと変わらないんだろうなと思ったら切なくて。
第4話と第5話は4日しか経過していません。最後の最後でこの小説のタイトルの意味が分かって更に切なくなりました。まさに「名探偵誕生」でした。

<実業之日本社 2018.6>H30.8.13読了