([ほ]4-3)活版印刷三日月堂 庭のアルバム (ポプラ文庫)([ほ]4-3)活版印刷三日月堂 庭のアルバム (ポプラ文庫)
著者:ほしおさなえ
ポプラ社(2017-12-05)
販売元:Amazon.co.jp

小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!ブクログ1位、読書メーター1位、第5回静岡書店大賞、第9回天竜文学賞、4冠!

「チケットと昆布巻き」実家が地方にあるかまぼこ屋の竹野。「めぐりん」という旅行雑誌の編集者として奔走している。大学の同級生たちは大手出版社などに勤めていて、引け目を感じていた。
竹野の気持ちは分からなくもないけど随分と斜に構えているというかなんというか。ある意味イマドキの青年という印象でした。でも、三日月堂に赴いたことで自分の事兄の事家族の事が少し見えてきたのではないかと感じて良かったです。
「カナコの歌」「月刊めぐりん」を見たことで大学時代の友人カナコの娘が活版印刷三日月堂を営んでいることを知った聡子。聡子はカナコの娘弓子に逢いに行く。
聡子はとても優しい女性ですね。お父さんもお母さんもとても素敵。その優しさがたまに人を傷つけてしまうこともあったのかなぁ。裕美が辛らつな言葉を放った理由も分からなくもないけど聡子がそこまで言われる筋合いはないと思うなぁとこっちが少しイラッとしました^^;それでも最後は良かったですね。
「庭のアルバム」母の友人が作った活版印刷のカードを見て活版印刷に興味を持った楓。店主弓子へ連絡し、活版印刷の体験をすることに。
楓はとても繊細だけど、楓も良い子でした。絵も上手だし人に寄り添うのも上手。こういう人の心を壊すような言葉を簡単に言ってほしくないです。父親の言葉がいちいち腹が立ちました。おばあちゃんは怖い人なのかと思ったけど素敵な女性だったなぁ。
「川の合流する場所で」ワークショップで出会った印刷会社の会長とその甥。自分のお店にある動かなくなった機械を同じ機械を持つ彼らの職場を見学することになった弓子。
この話だけ何だか弓子の印象が違う気がしました。弓子自身の目線が入っていたからなのかな。この会社と出会ったことで、また盛岡という場所へ来たことで弓子自身の気持ちもまた変わっていくのかな。次回作も楽しみです。

<ポプラ社 2017.12>H30.1.29読了