つぼみつぼみ
著者:宮下 奈都
光文社(2017-08-17)
販売元:Amazon.co.jp

話題作『スコーレ4』の主人公麻子の妹・紗英、叔母・和歌子、父の元恋人・美奈子。それぞれがひたむきに花と向き合い葛藤するスピンオフ三編。(「手を挙げて」「まだまだ、」「あのひとの娘」)弟の晴彦は、高校を中退し勤めた会社もすぐに辞めて、アルバイトを転々とした後大検を受け、やっぱり働くと宣言して、いつもふらふらひらひらしている。不器用な弟と振り回される姉。そんな二人には、離婚した両親がまったく違って見えていた。(「晴れた日に生まれたこども」)どこかへ向かおうともがいている若き主人公たちの、みずみずしい世界のはじまり。凜としてたおやかに、6つのこれからの物語。

…え!?最初に出てきた三姉妹の長女は「スコーレNo.4」の主人公だったの!?(あらすじ読んで知った人)マジかー…まだ読んでないんだよー…そうかそうか。
なんて読み終えた後に気づいたりもしましたが^^;でもこの作品では長女はあまり登場しないので本当にちょっとリンクしているくらいのものなのでしょうか。最初の三編が人物が繋がっていたのでずっとそんな感じで続くのかと思ったら違いましたね。
「手を挙げて」は和歌子は一人でも生きていけるだろうからあんな母親の息子となんて付き合うの止めちゃえばいいのにと思った私はダメなやつでしょうか?^^;いう母親も母親だし、そのまま彼女に伝える息子も息子ですよね。最後の告白は割とかっこいいというか素敵だったけど私はこの状況なら別れたいなーと思ってしまった←
「あのひとの娘」美奈子は誰だろうと思ったら高校生の時の元カノという。30年かー。長いなー。でも、それだけその人の事を想えるって言うのは幸せなことなのかなと思う。美奈子の場合はそれが足枷のようになっていたのかどうなのか…。
「まだまだ、」紗英はきっとたくさんの人に好かれる子だと思うけど、同時にすんごく嫌われるというのも分かる気がする子だったな。天才肌というか…。末っ子って感じ。宮下さんご自身が三人のお子さんがいらっしゃるから書けるのかなとも思いました。私は多分、こういう子は苦手かも。苦手というか羨望と妬みもあるのかもしれない。長女だから。
3作の後の「晴れた日に生まれたこども」でも前の作品とどこかでつながりがあるんじゃないかと思ってそればかり探して読んでいました。この作品で登場する弟は正直ちょっと情けないし、そんな弟を構う姉も構い過ぎだとは思うけど、でもそれでも姉の彼氏は自分勝手すぎて嫌いでした^^;
「なつかしいひと」は途中で読んだことがあると気付きました…。「本屋さんのアンソロジー」で既読でした。温かい優しい物語です。
「ヒロミの旦那のやさおとこ」この旦那が何だかダメ男な気がするんですけど…。それでもヒロミに本気で惚れているんだろうなぁというのは分かりました。ヒロミもまた素直で優しくてかっこいいですね。そして友人の美波と知花も素敵。あんたはあんたで幸せになれる。いい言葉ですね。

<光文社 2017.8>H29.11.8読了