ゴーストゴースト
著者:中島京子
朝日新聞出版(2017-08-07)
販売元:Amazon.co.jp

温かい気持ちになったあとに、思わず涙があふれてしまう。
――風格のある原宿の洋館はGHQの接収住宅でもあった。そこに小さな女の子はなぜ出没するのか?
戦時中、「踏めよ 殖やせよ」と大活躍し焼夷弾をあびながらも生き延びたミシンの数奇な運命とは?
少しぼけた仙太郎おじいちゃんが繰り返す、「リョーユー」という言葉の真意は孫娘に届くのか?
おさるのジョージの作者たちは難民キャンプで何をしていたのか?
やわらかいユーモアと時代の底をよみとるセンスで、7つの幽霊を現代に蘇生させる連作集。
第一話 原宿の家
第二話 ミシンの履歴
第三話 きららの紙飛行機
第四話 亡霊たち
第五話 キャンプ
第六話 廃墟
第七話 ゴーストライター

久しぶりの中島さんの作品。幽霊をテーマにした作品ということで少しドキドキしましたが、ホラーではなさそうだったので読んでみました。
どの作品も面白かったけど、特に印象的だったのは2作。
まずは「ミシンの履歴」ミシン目線で描かれた作品というのがまず斬新で、ミシンが生きてきた長い長い月日が日本の歴史も思わせて深くて重たいです。私の実家にも足踏みミシンがあるのですが、何だかお喋りしながら使ってみたいです←(実は一度も使ったことがない)
そして「亡霊たち」千夏の曽祖父の仙太郎おじいちゃんが時折話す「リョーユー」という言葉。家族は戦友のことではないかと、かつて戦地へ赴いた祖父を想い推理します。最後の言葉が凄く凄く重たい。かつてはそういう時代だった。まだ72年。たった72年しか経っていないんですよね。でも、最後の一文を読んで一瞬「ワンピース」のサンジを思い出しちゃってごめんなさい←

<朝日新聞出版 2017.8>H29.10.26読了