100億人のヨリコさん100億人のヨリコさん
著者:似鳥 鶏
光文社(2017-08-17)
販売元:Amazon.co.jp

極貧学生寮の寮生たちが世界破滅の危機に挑む!…嘘みたいですが、ホントにそういうお話です。某大学キャンパスの奥の奥、深く大きな池と農学部演習林に挟まれた未開のエリアにあると噂される「富穰寮」。個性的すぎる学生その他(?)が住むという。緑色のキノコや医療用のアルコールをはじめ、奇妙な食材を取りそろえ、夜な夜な宴会が開かれているという。血まみれの女性が天井や窓の外に出現するという。その女性の名は、ヨリコさんだという。…あくまで噂。しかして、その実態は!?エンタメ史上に残る凶悪ヒロイン、大量出現!?圧倒的な熱量で奇想が暴走する、傑作パニックサスペンス!

似鳥さんの新刊だ!ということで内容を知らずに読んだのですが…いやー凄い。
何が凄いって色々凄い(語彙力)
まずタイトルがどういうことだろうと思いますが読んでいくうちにタイトル通りだということが分かっていきます…。実際にこんな現象になったら本当に大変だ!
ヨリコさんに関することもそうなのですがとにかく主人公の小磯君がお金がないために移り住んだ富穰寮もとにかく興味深い。住んでいる人たちは時代錯誤な上に自分の所属する学部で研究しているもの以外のことに熱心でまたお金がない人がほとんどのため食べ物が自給自足…のような違うような。
お腹弱い芸人の私は1日で病院送りにされそう…。
そしてなぜかシングルマザーとその子供まで住んでいるという…。この親子、とても勇ましくて生命力が強くて好きでした。母親の奈緒さんは聞くのが怖いくらいに謎の知識をたくさん持っているし、ひかりちゃんも小学4年生とは思えないほどしっかりしていて、読んでいて何だか頼もしさを感じました。
内容はなかなかホラーでパニックものなんですけど不思議と怖さは感じなかったんですよね、なんでだろう。
そして地味に地元の話題が割と豊富に登場したのが嬉しかったです。似鳥さんは北海道にゆかりのある方なんでしょうか…と全然関係ないところが気になりました。
富穰寮のみなさんが個性的で本当に面白かったです。またどこかで会えると良いな。

<光文社 2017.8>H29.9.12読了