わたしたちは銀のフォークと薬を手にしてわたしたちは銀のフォークと薬を手にして
著者:島本 理生
幻冬舎(2017-06-08)
販売元:Amazon.co.jp

「どこへ行きましょうか」 「どこへ行くか」
30歳の私は、あの日、夕方の春の海辺で、どこへ行けるか分からない恋を始めた。限られた時間の中にいる男女の行く末を描いた、渾身の恋愛小説。
年上のエンジニア・椎名さんと仕事先で出会った知世。美味しいものを一緒に食べる関係から、少しずつ距離が近くなっていったある日、椎名さんは衝撃の告白をするが……。

何だか色々考えながら読んでしまった…。
同世代の主人公たちの話していることが他人事とは思えなくて…。
それでもやっぱり、知世たちの恋愛は良いなと思いました。
美味しいと思えるものが一緒って幸せなことだと思う。
エイズという言葉を久しぶりに聞いたな。久しぶりって言うのがおかしいんだけど。
でもみんな、エイズだと知ったら止めなという。反対をする。
その人だから好きになったのにどうしてそう言うことになるんだろうって不思議で。
当事者じゃないただの読者だからそう思うんだろうか。
そしてとにかく知夏と母親には嫌悪感しか抱かず…。
旦那さんは何故結婚したのだろうか…。人の悪口ばっかり言って。一緒にいたら疲れちゃいますよ。
それでも2人が知世に対していった言葉は、私の妹や母も少しは思っていることなのだろうかとつい考えてしまったりして。
好き勝手に生きていいねなんて、思ったりもしているんだろうか。
私は結婚も家族を作ることも魅力を感じない。結婚したいとも思わない。
大学を卒業してから社会人になっていろんなことがあって、もがいて苦しんで自分の居場所を見つけたいと思っていたらいつのまにかこんな年になっていて。独身だから好き勝手やっているわけではないのに、世間では何となくそんな風に思われがちですよね。
そして結婚する事こそが幸せだと、それが当たり前だと言ってくる。
「どうして人生には、結婚以外の正解が用意されていないのだろう。」という飯田ちゃんの言葉が凄く胸に突き刺さりました。本当にそう。
まあ色々言われても自分の人生は自分のもの。人に言われて選択して失敗したとして人のせいにしたくないから。やっぱり自分の思うように生きていきたいです。
時間は有限だという言葉もとても心に響きました。

<幻冬舎 2017.6>H29.7.20読了