アンソロジー 隠すアンソロジー 隠す
著者:大崎 梢
文藝春秋(2017-02-09)
販売元:Amazon.co.jp

あなたが隠したいものは、なんですか?机の中に、記憶の中に、人生のどこかに…「隠す」をテーマに描かれる、11の不穏で切実な人間ドラマ。

柴田よしき「理由」
人気毒舌コメンテーターを刺したイラストレーターの真意とは。刺した動機を言わない女性の真意が分かった時、ぞくっとしました。本当の復讐が完遂したんですね。

永嶋恵美「自宅警備員の憂鬱」
自宅警備員ってどういうことだろうと思ったら引きこもりのことだったんですね。引きこもりって一言で言ってはいけないですけど。ちゃんと介護をしてちゃんと規則正しい生活を送っているんですもんね。洞察力が見事でした。いつかきっと社会復帰できるよ。

松尾由美「誰にも言えない」
ホームステイ先の家族がいきなり冷たくなりショックを受けたリンジー。なぜ態度が変わったのか、探偵事務所のボスと助手が推理します。3人の関係とか、ボスの助手に対する想いとか、全体的に可愛らしい作品でした。

福田和代「撫桜亭奇譚」
突然死亡した父親の秘密。重たかったです。長男はすべてを背負うのでしょうか…。

新津きよみ「骨になるまで」
祖母が亡くなったことで知った見知らぬ伯父の存在。調べていくうちに祖母の死の原因も分かっていきます。なんというか…切ないというかもどかしいというか。いろんな偶然が生んだ悲劇だったのかな…。

光原百合「アリババと四十の死体 & まだ折れてない剣」
アラビアン・ナイトみたいなお話でした。女性の強さを感じました。

大崎梢「バースデーブーケをあなたに」
90歳を過ぎた女性に毎年贈られてくるバースデーブーケ。差出人Mの正体はだれなのか。

近藤史恵「甘い生活」
主人公の人のものが欲しくなる女性、最低だね。最後はかなり悲惨だったけど身から出た錆だからな…という感想だった自分もちょっと怖かったです^^;

松村比呂美「水彩画」
言い方が悪いけど、全部母親のエゴですよね。娘だって大事な子ども。なのにずっとひどい対応を繰り返して、それで自分の罪が償われると思っているわけではないと思うけど…あまりにも可哀想でした。

加納朋子「少年少女秘密基地」
まさかここで「少年少女飛行倶楽部」のスピンオフが読めるとはー!!
彼ら彼女らが小さかった頃の話まで出てきて!!1人興奮してました。
小さかった時は気付かなかったんですけど、中学生になってからのみんなの名前で思い出しました。ヒトデくんとクラゲちゃんと神君。以前ニアミスで出会っていたんですね。

篠田真由美「心残り」
締めのこの作品が一番「隠す」というタイトルにふさわしい怪談ぶりでした^^;怖かった…。

どの作品もそれぞれ面白かったです。そしてすべての作品に共通するある物は、3作品目くらいで気づきました。こういう繋がりは読んでいて面白さが増しますね。

<文芸春秋 2017.2>H29.6.28読了