錆びた太陽錆びた太陽
著者:恩田 陸
朝日新聞出版(2017-03-21)
販売元:Amazon.co.jp

立入制限区域のパトロールを担当するロボット「ウルトラ・エイト」たちの居住区に、国税庁から派遣されたという謎の女・財護徳子がやってきた。三日間の予定で、制限区域の実態調査を行うという。だが、彼らには、人間の訪問が事前に知らされていなかった!戸惑いながらも、人間である徳子の司令に従うことにするのだが…。彼女の目的は一体何なのか?直木賞受賞後長編第一作。

この間「失われた地図」を読みましたが、こちらも同じく「蜜蜂と遠雷」しか恩田作品を読んだことがない人にはビックリな内容かもしれませんね^^
舞台は近未来の日本。「最後の事件」により未曽有の健康被害が発生し、日本の国土の二割に迫る面積が立入制限区域になった。
そこに暮らすロボットたちの元へ、若い人間の女性がやってくる。
徳子が来たからというわけではないと思いますが、徳子が滞在した3日間の間に様々なことが起こり、またロボットたちや国民たちが知らない間に水面下で動いている壮大な計画を知っていきます。
最初は読んでいる側も徳子の目的が何なのか気になって疑ってかかって読んでいたのですが(笑)目的の一つが良い意味で予想外で良かったです。完全に国税庁の人間で仕事人間って感じだったのでそんな感情的な理由だとは。褒めてます。
最初は徳子がめんどくさいしウザいしであんまり好きじゃなかったんですけど^^;だんだん可愛らしく見えてきました。
国税庁といったらマルサですよね、遠い昔(14年前)にやったドラマを思い出しましたよ。あれ、面白かったし可愛かったんだけどな。続編も予定されていたけど誰かさんが年金未払いだってことが判明して立ち消えたって噂がありますけどどうなんでしょうかね。もう今更いいすけど。
話がそれましたが。
ロボットたちのネーミングが面白かったですね。大昔に日本で放送されていたドラマから取ったという^m^30代の私も生まれてない頃ですからね。大昔ですね(少し違う)
ロボットなのだけど、徳子と関わることでみんなが何だか人間っぽくなっている気がして面白かったですね。
色んなメッセージが込められている作品でした。
原発事故に関してもAIに関しても。
「人間を信じ切るには、あまりにも彼らは前科が有りすぎる」という言葉がとても印象深いです。

<朝日新聞出版 2017.3>H29.5.17読了