主君 井伊の赤鬼・直政伝主君 井伊の赤鬼・直政伝
著者:高殿 円
文藝春秋(2017-01-27)
販売元:Amazon.co.jp

大河ドラマ井伊直虎を描いた『剣と紅』に続き、井伊家第17代当主で「赤鬼」の異名を取る井伊直政と家臣木俣守勝の歴史ドラマ。
おまえの“主君”は誰だ。人はなんのために人に仕えるのか。家康に寵愛され、「赤鬼」と呼ばれた男の生涯―

以前、同じ著者さんが書かれた「剣と紅」がめちゃくちゃ面白かったので今回も読むのを楽しみにしていました。いや〜…想像通り、面白かったです。
井伊直政については、この作品を読む以前はあまり知らなかったですね。「軍師官兵衛」を見ていた時に登場していて、徳川四天王の一人だということは知っていましたがそれ以上のことは存じ上げず。それでも「剣と紅」と今作を読んで生涯を知ることが出来て本当に良かったです。
「剣と紅」では徳川家康と井伊直政が直虎について語るところから始まり、今作では徳川家康と木俣守勝が直政について語るところから始まります。そのつながりもなぜか感慨深いような気がして。それだけでちょっと感動しました。
直政の闘い方、生き方は本当に無謀というかなんというか…強運以外の何物でもなかったと思います。運が無かったらとっくに死んでいたかもしれませんね。でも、その無謀な闘い方には意味があった。それは分かる気がします。2歳で実の父が殺され、自分の身も追われて匿われ、井伊家は自分が守らなければ滅亡してしまう。それは今の大河ドラマを見ていても分かりますが、井伊家の男性はことごとく殺され、井伊家の一族の希望を一身に背負って生きてきたんですよね。よほどの覚悟がないと出来なかったのだと思います。それをちゃんと成し遂げた直政。井伊家の血は現在までつながっています。それを考えると何だか涙が出そうです。42歳なんて早すぎますね。直虎も確かそれくらいでした。井伊家を守った人たちは早世ですね。
逆に南渓は随分長く生きたんですね。自分の次の世代、次の次の世代、たくさんの人を見送って行ったのでしょうね。それもまた、辛いお役目ですよね…。
また、この作品を読むまで木俣守勝という人物を知りませんでしたが、今回守勝目線で物語が語られるのでこの方の事も知ることが出来ました。なかなか家族関係が複雑で切なかったですね。それでも、奥さんに恵まれ、家族に恵まれ、幸せだったんじゃないかなと思いました。
あ〜面白かった!大河ドラマもこの間直政がちょうど誕生しましたし^^これから楽しみです。読んでよかった!

<文芸春秋 2017.1>H29.3.14読了