人魚姫の椅子人魚姫の椅子
著者:森晶麿
早川書房(2016-12-08)
販売元:Amazon.co.jp

瀬戸内海に面した椅子作りがさかんな町、宝松市鈴香瀬町。高校生の海野杏は、毎朝海辺で小説を書きながら、椅子職人を目指す同級生・五十鈴彗斗と少しだけ話すことを日課としていた。そんなある日の朝、彗斗から「高校をやめて町を出る」と告げられる。特別仲がよかったわけではないが、傍にいて当然の存在がいなくなることに焦りを覚える杏。時を同じくして、杏は親友の翠からラヴレターの代筆を頼まれる。必死に頼む姿にほだされ、明るくてかわいい翠を思い浮かべながら、一文一文を丁寧に綴っていく。そのラヴレターから、小さな町を揺るがす失踪事件が始まるとも知らずに。“黒猫シリーズ”の著者が描く、新たな青春ミステリ。

失礼ながら森さんの作品は黒猫シリーズ以外を読む際には、気合を入れて読まないといけないというかどんな話なんだろうとドキドキしながら読むというか…
当たりはずれが多いんですよ←
ということで、この作品はどうだろうとドキドキしながら読んだのですが、面白かったです。杏のキャラクターも好きでしたし、周りを取り巻く人たちの関係も良かった。
親友の翠がラブレターを書いてほしいと頼んだことから始まった失踪事件。
杏と彗斗の周りを取り巻く環境が変わっていく展開が気になってあっという間に読んでしまいました。周りの人たちのキャラクターも好きでしたね。
杏の”父親”の公造や、彗斗の父親の大作も個性的で好きでした。家族を愛し、仕事を愛しているところが特に。真っ直ぐなのかなぁ。
だからこそ小さな町で起きた失踪事件は悲しかったですね。また真相も切なくて悲しかった。冒頭に失踪事件後のストーリーが少し書かれていたので高を括っていたというかきっとこうなるからみたいな思い込みがあったのですが、まあ打ち砕かれましたよね^^;
それでも最後は好きでした。杏も前に進めてよかったね。周りの人たちに恵まれていて良かったね。

<早川書房 2016.12>H29.1.18読了