
著者:吉田 修一
中央公論新社(2014-01-24)
販売元:Amazon.co.jp

著者:吉田 修一
中央公論新社(2014-01-24)
販売元:Amazon.co.jp
殺人事件から1年後の夏。房総の漁港で暮らす洋平・愛子親子の前に田代が現われ、大手企業に勤めるゲイの優馬は新宿のサウナで直人と出会い、母と沖縄の離島へ引っ越した女子高生・泉は田中と知り合う。それぞれに前歴不詳の3人の男…。惨殺現場に残された「怒」の血文字。整形をして逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?『悪人』から7年、吉田修一の新たなる代表作!
映画の予告を見て手に取りました。吉田さんの作品は遠い昔に1冊読んだことがありましたがそれ以来1度も読んだことがなくて。久しぶりですねー。
もう読む手が止まらなくって上下巻あるのに1日で読んじゃいました。お陰で寝不足な上に肩こりが…^^;
前歴不詳の3人の男と関わる人たちと刑事たち、それぞれの話が交互に展開していくのですがそれが分かりにくいということもなくまた人物描写が細かくて混乱することは全くなかったです。それぞれの物語が面白くて本当に止まらなかった。
犯人以外の不詳の男たちは本当にただただ不遇というか可哀想というか切ないというか…。
泉の身に起きたことが本当に悲しかったですね。辰哉の苦悩も伝わってきました。まあ辰哉がお酒を飲まなきゃよかった話なんですけど←でも辰哉はこの出来事から逃げなかった。だからこそ苦悩して葛藤して。純粋で優しい子でしたね。だからこそ泉も動いたのだろうし…。それでも、悲しかったなぁ。
優馬と直人の関係も好きでした。出会いのきっかけなんて、些細なものなのかもしれないですね。でもこっちも悲しかったなぁ…。
愛子と洋平と田代の関係も良かった。洋平の苦悩、愛子の苦悩、それぞれ相手を想っているからこそ、どこか歪んでしまったのでしょうか…。それでも愛子と田代の関係は純粋なものだったんだと思います。ここはハッピーエンドでしたねー。良かった。
最後が衝撃的すぎて驚き以外の何物でもなかったんですけど^^;
結局、山神は何に怒りを覚えていたんですかね。自分になのか人になのか世界になのか。
元々の事件については割とうやむやというか深く掘り下げられなかったのが、良かったのか悪かったのか…。何だか曖昧な感じですみません^^;
見るの少し怖いけど、映画も見てみたいと思いました。ホント、今更ですけど。
<中央公論新社 2014.1>H29.1.9読了