シャルロットの憂鬱シャルロットの憂鬱
著者:近藤 史恵
光文社(2016-10-18)
販売元:Amazon.co.jp

元警察犬シャルロットとの日常と事件をやわらかく描く、傑作コージーミステリー
シャルロットは雌のジャーマンシェパード。警察犬を早く引退し、四歳で池上家にやってきた。はじめて犬と暮らす夫妻にも、散歩などをきっかけに犬同士、飼い主同士のゆるやかな連帯も生まれてくるが、なかには不穏な事件を持ち込む者もいて──。

子どもが出来ないと思い悩む真澄に夫の浩輔が犬を飼わないかと提案するところから物語が始まります。私は犬を飼ったことがないのでそんなにたくさん散歩しなきゃいけないんだーと思ったり、井戸端会議の話でなるほどなーと思うことがあったり、読んでいて新鮮なところがたくさんありました。
連作短編集の中にはいろんな人の想いも散りばめられていて、少し胸が痛くなることもありました。奥さんに愛想を尽かされたあとで周りに取り繕って追い詰めようとする男とか、自分自身の目的のためだけに変に犬を手懐けようとする女とか。そこら辺の闇の描かれ方はさすが近藤さんだなぁと思いました。
香澄と浩輔の夫婦の雰囲気も素敵でした。本人たちも友だちみたいって言ってましたけど、私はそういう夫婦が理想です。いろんなことを話せるし意見も言えるようなそんな関係。
近藤さんの動物に対する愛情もたくさん感じた作品でした。

<光文社 2016.10>H28.12.23読了