金魚姫金魚姫
著者:荻原 浩
KADOKAWA/角川書店(2015-07-31)
販売元:Amazon.co.jp

勤め先の仏壇仏具販売会社はブラック企業。同棲していた彼女は出て行った。うつうつと暮らす潤は、日曜日、明日からの地獄の日々を思い、憂鬱なまま、近所の夏祭りに立ち寄った。目に留まった金魚の琉金を持ち帰り、入手した『金魚傳』で飼育法を学んでいると、ふいに濡れ髪から水を滴らせた妖しい美女が目の前に現れた。幽霊、それとも金魚の化身!?漆黒の髪、黒目がちの目。えびせんをほしがり、テレビで覚えた日本語を喋るヘンな奴。素性を忘れた女をリュウと名付けると、なぜか死んだ人の姿が見えるようになり、そして潤のもとに次々と大口契約が舞い込み始める―。だがリュウの記憶の底には、遠き時代の、深く鋭い悲しみが横たわっていた。

タイトルとあらすじに惹かれて手に取りました。荻原さんの作品を読むのは3年半ぶり。
初めは読んでいて辛かったです。勤務先のブラック具合が酷すぎるし、彼女は出て言ってるし。でも、明日の就業時間まで何時間何分って思っちゃうの分かります。私も日曜日になったら憂鬱になるから。それもあって読み進めるのが怖かったんですけど、仕事があまりにもひどすぎるので現実味が無くなってきたし、リュウとの関係の方が気になって行きました。
リュウと出会ったことで潤は変わっていきましたよね。それは死んだ人の姿が見えるようになって仕事が少しずつ良く回り始めたということだけではもちろんなくて。
リュウとの関わりが読んでいてだんだん微笑ましくなっていきました。
長崎の旅行は可愛らしかったけど、それと同時に分かっていたリュウの過去。切なかったです。そして最後の最後のお話に更に切なくなってそして温かくなりました。
面白かったです!

<角川書店 2015.7>H27.10.6読了