傘をもたない蟻たちは傘をもたない蟻たちは
著者:加藤 シゲアキ
KADOKAWA/角川書店(2015-06-01)
販売元:Amazon.co.jp

無限の悲しみはどこまでも僕を埋め尽くす――。いまを生きる人々の「生」と「性」を浮き彫りにする6編の物語を収録。累計20万部のデビュー小説『ピンクとグレー』の映画化で注目の加藤シゲアキ、最新刊!

芸能界が舞台以外の物語を読みたいと思っていたのでようやく待ち望んだ作品でした。
新刊になるたびに読みやすくて物語に引き込まれます。凄いですね。
短編の中にはなかなかの性描写も出てくるんですけど、これ、書いちゃっていいの?なんて思っちゃいましたけど、小説家なら書くのは当たり前ですよね。いろんなことを覚悟して書いた作品なんだろうなと思いました。どの作品も個性的で面白かったです。
「染色」市村も美優もそれぞれ良いなと思いました。芸術と性と、まとめちゃうのなんですけど青春小説だなと思いました。
「Undress」この主人公あんまり好きじゃないなぁと思って読んでたんですけど、最後の皮肉加減が凄すぎて同情しちゃいました…。この人の人生これからどうなるんだろう…
「恋愛小説(仮)」設定が凄く面白かったです。自分の書いた原稿の内容がそのまま夢になって現れる。そして自分の小学生の時の苦い思い出。可愛くてそして切なかったです。
「イガヌの雨」いやーこれ怖かったです。ある意味ホラーでしたね。終わり方も怖かった。これが現実になったらいやだな。私は料理うまくないけどお祖父さんのような生き方が良いなと思いました。
「インターセプト」この作品も面白くて怖かったです^^;男女の駆け引きこんなことしてんのかよ!!と思いました。してたら怖い・・・。これ男性側に立ってみたらめちゃくちゃ怖いですよね。でも少し自業自得・・・。
「にべもなく、よるべもなく」この作品の中に「妄想ライン」という小説が出てくるんですけど、それはシゲ先生が高校生の時に実際に書いた作品なんですね。そう考えて読むとまた面白いかも。
ケイスケの告白を受けた純の心の変化や葛藤が凄くよく書けてたと思います。何だか言い方が上からですけど^^;友達として大事に想っているからこそ真剣に考えて悩んで逃げて。いやー上手く言えないのがもどかしいんですけど本当に良かったです。

<角川書店 2015.6>H27.10.3読了