剣と紅剣と紅
著者:高殿 円
文藝春秋(2012-11)
販売元:Amazon.co.jp

井伊直政は家康にむかって話を続ける。それを訊く家康の相づちは実に楽しげだ。
「十五の年、養母は、この男だけは絶対にいけないと強情なまでに言いはり、ついには髪を下ろしてしまいました。当時、今川義元公の庇護の下、繁栄を極めた駿府より、ありとあらゆる贅沢品を用意した縁談相手を前に、養母は一言、こう言い放ったそうです」
──紅はいらぬ。剣をもて。
戦国の世、女地頭と呼ばれた徳川四天王・井伊直政の養母、井伊直虎。彼女の熾烈な一生を描いた、『トッカン』の著者がおくる渾身の歴史エンターテインメント!

出たときから気になっていたのですが何だかタイミングが合わなくて読めないでいたのですが。今回再来年の大河でこの方の生涯が描かれるということでこれはいい機会だと思い手に取りました。
面白かった…もっと早く読めばよかった。っていつも言ってますね^^;
「軍師官兵衛」で直政が登場していたので誰の事を差しているのかはわかりましたが、井伊家ってこんなに壮絶な歴史があったんですね…短い期間に男性陣が非業な死を遂げていて、どこまで負の連鎖が続くのかと読んでいてとても辛くなりました。
直親と香が何事もなく結婚できていたら、全く違う人生で歴史も全然違ったんだろうなとも思いました…。すべては「たられば」なんですけどね。
直虎の生き様、かっこよかったです。真似なんてできません。
小法師と呼ばれ、実際に千里眼のような能力を持っていてもそれで未来を変えることは出来ない。読んでいてとても辛かったです。
歴史小説ですがこちらは女性が主人公なので合戦のシーンはあまり出てきません。
それよりも女性の闘いが色濃く描かれているように思います。
直虎の生き様もそうですが、井伊家に嫁ぎ、夫に先立たれた女性たちの闘い。
直政の母、日夜が選んだ道が素晴らしかった。直虎がそうしてほしいと言ったのだけど、すべてを受け入れて分かった上での決意が素晴らしかった。輝も、きぬも素敵な女性でした。
大河ドラマではどう描かれるんでしょうか。
私は連続ドラマを見るのが非常に苦手なのですが^^;
見ようかなぁ。
高殿さんの作品はトッカンを始め前々から気になっていたのですが、これを機に他の作品も手にとってみようと思いました。

<文芸春秋 2012.11>H27.9.18読了