
著者:恩田 陸
朝日新聞出版(2015-03-06)
販売元:Amazon.co.jp
東日本大震災を経て、東京五輪へ。少しずつ変貌していく「東京」―。その東京を舞台にした戯曲「エピタフ東京」を書きあぐねている“筆者”は、ある日、自らを吸血鬼だと名乗る謎の人物・吉屋と出会う。吉屋は、筆者に「東京の秘密を探るためのポイントは、死者です」と囁きかけるのだが…。将門の首塚、天皇陵…東京の死者の痕跡をたどる筆者の日常が描かれる「piece」。徐々に完成に向かう戯曲の内容が明かされる作中作「エピタフ東京」。吉屋の視点から語られる「drawing」。三つの物語がたどり着く、その先にあるものとは―。これは、ファンタジーか?ドキュメンタリーか?「過去」「現在」「未来」…一体、いつの物語なのか。ジャンルを越境していく、恩田ワールドの真骨頂!!
あらすじを読んでもどんな内容なのか全然わからなかった今回の新刊。いつもわからないと言えばわからないのですが^^;
この作品は何だろう…ドキュメンタリーのような…違うような…。でも筆者という主人公はなんとなく恩田さんを思い浮かべて読んでいました。同い年だし…
小説というくくりとは何となく異なるような印象のこの作品ですが、私は割と好きでした。
今の時代に生きる著者が自分が今まで生きてきて見てきた物、映画だったり音楽、美術、本、その他諸々を当てはめて思い出しながら東京という場所で生きている今を戯曲に当てはめていこうとする雰囲気。
この作品は3つの視点で描かれていて、大部分はこの著者の語り。あとは自分が吸血鬼だと告白する吉屋、そしてエピタフ東京の舞台の世界。
吉屋が吸血鬼だという設定がよく分からなかったのですが、肉体は滅びても意識は生き続けていてその長い年月の東京を回想する…という部分で必要なキャラクターだったのかなぁなんて思ったりしました。
どうせならエピタフ東京の世界をもっと味わいたかったなと思います。物語がドキドキする雰囲気だったので最初から最後まで読みたいです。いつか書いてください←
〈朝日新聞出版 2015.3〉H27.4.9読了
なるほど、と思いました。
この作品には、長い年月東京と共に生きて
来た彼のような存在が必要だという意識
から出来たのかもしれませんね。
でも、いまいち作品に溶け込んでは
いなかったような・・・^^;
戯曲の『エピタフ東京』面白そうでしたよね。
いつか単独で書籍化して頂きたいです。