私の命はあなたの命より軽い私の命はあなたの命より軽い
著者:近藤 史恵
講談社(2014-11-13)
販売元:Amazon.co.jp

「どうして人の命の重さには違いがあるの?」東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。実家で何があった?明らかになっていく家族を襲った出来事とは―。『サクリファイス』の著者が「命の重さ」を描く渾身ミステリー!!

いやー…後味悪かったですー。ずーっと嫌な感じがずっと続いていて最後にとどめをされた感じです…。イヤミスと言えば私は近藤さんを挙げます。そういう作品ばかりじゃないんですけども。
大好きだった家族の元へ里帰り出産した遼子は家族内の不穏な空気を感じます。
それが妊娠中で神経質になっているのか、違うのか、その真相について徐々に明らかになっていくお話なのだけど、もうずーっと重たくて暗い。
嫌な展開になるんだろうなと思って読んでいるからなおさらで^^;それでもその真相が気になるから読む手が止まりませんでした。
真相が分かって、まず思ったのは親の身勝手さでした。
確かに大きな出来事だったと思う事件と言ってもいいと思う。それでも両親がしたことは、自分の保身のためにやったとしか思えない。若者にはどんな形であれ未来があるのに、それを握りつぶした両親の罪は私は重いと思います。
育て方を間違えたなんて、最低の言葉です。
若者たちの方が現実から目を背けずに生きていこうとしていたのに。
美和が陥った境遇は美和だけが作り上げたものでは決してないと思います。
美和のことは良かったと思ったのに最後の最後。後味悪すぎ…
本当に好きなのか、それとも何かしらの復讐なのか。どっちにしても悪い方向に進んでいくならもうあの人はダメだなと思う。そんな未来じゃなくて、前を向いた未来をもって生きていってほしいなぁ。
タイトルを最後に見て、誰の事かわかるとぞっとしました。
でも、境遇はどうあれ、命に重いも軽いもないと思います。

〈講談社 2014.11〉H27.1.18読了