男ともだち
著者:千早 茜
文藝春秋(2014-05-26)
販売元:Amazon.co.jp
関係のさめてきた恋人と同棲しながら、遊び人の医者と時々逢いびき。仕事は順調、でも何かが足りない――29歳、イラストレーター神名葵。
八年ぶりの電話を掛けてきた大学の二歳上の先輩・ハセオはいつも馬鹿笑いしてばかりの、女の切れない男だったが、決して神名には手を出さなかった。男ともだち。そういう呼び名以外はあてはまらない。でも、誰よりも居心地のいい相手だった。同じ種族を本能的に求めるように神名は彼と一緒にいた。
男ともだちは恋人ではない。彼には親密に付きあっている女性たちがいるだろう。でもひょっとすると、男ともだちは女たちにとって、恋人なんかよりずっとずっと大切な相手なのではないか。いつまでも変わらずに、ふとした拍子に現れては予想もつかない形で助けてくれる――。
29歳、そして30歳。
仕事と男と友情の、熱くてビターな日常を描いた傑作長編小説。
土曜日に「王様のブランチ」で特集されていてタイミングが良かったです。初めてお顔を拝見しましたが、綺麗な方でしたー。北海道出身なんですよねー。今は京都にお住まいなんですね。
29歳、今の私と同い年です。同棲している彼氏がいて愛人がいて。イラストレーターとして仕事もたくさん舞い込んできていて一応は満ち足りているはずなのに、満たされていない神名。
正直最初の神名の印象はめちゃくちゃ悪いです。神名はずっとドロドロしている感じ。彼氏にも愛人にも心は許さずにどこか見下していて、いつか報いが来るよとまでは言わないけど、このままの生活が続くわけがないよとは思いました。
私は小中がほぼ持ち上がりだったのでそれまでは男の人と普通に話せていたのですが高校で誰一人知らない環境に置かれたら男の人と話せなくなり、大学は女子大だったので同世代の男性と関わることがあまりない状態で今まで来たので、正直男女の友情って信じていない人です。ずっとそういう関係であってもどっちかは何かしらの愛情めいたものを持っているだろうと疑っている人です。勿論意見には個人差がありますからあくまで私の意見です。
ただ、神名とハセオの関係は不思議でした。神名の彼氏の言うように「男ともだち」という表現は狡いと思います。それでも二人は本当にともだちで、露月のいうように赤ん坊の状態でそのままいるような、そして美穂の言うように1度でも身体の関係を持ったら崩れてしまうような、脆いような強いような。不思議な感じでした。女性同士ならここまで明け透けにいえないことが男女だと言えるのかな。私には分からない関係。
ハセオが神名に言う言葉、私にも結構響きました。自分が求めていない仕事でもやらなければならないのかという神名に対して「無心でやれ」っていう言葉とか。「どんな仕事でもやっていればいつかどこかで役に立つからやらないのではなく無心でやれ」っていう言葉は沁みました。良いこと言うな〜。
美穂との関係も好きでした。互いが互いを羨んでいる姿が良いなと。決して妬みではなく。
王様のブランチでユイカちゃんが「最後ハセオが可哀想だった」と言っていました。私は最後、ハセオが可哀想だったとは思いませんでした。なんだかんだあってもこういう関係がずっと続いていくんだから、このまま一生二人はともだちなんだろうなと私は思えたので。しつこいですがあくまで私の意見です。
主人公は29歳という年齢に足掻いてました。私も今そうなのかもしれません。そこだけは共感できたかなー。でもきっと私も同じように30歳になったときに今まで足掻いていたのは何だったんだろうって思えるような気もします。
でも、もうちょっと足掻いていようとも思います。
番組の中で千早さんが主人公に対して「そのままでいいんだよ」というメッセージを伝えていました。それは私の心の中にもずしんときて、涙が出そうになりました。
そうか、そのままでいいのかって思えることが出来てうれしかったです。
〈文芸春秋 2014.5〉H26.6.23読了
著者:千早 茜
文藝春秋(2014-05-26)
販売元:Amazon.co.jp
関係のさめてきた恋人と同棲しながら、遊び人の医者と時々逢いびき。仕事は順調、でも何かが足りない――29歳、イラストレーター神名葵。
八年ぶりの電話を掛けてきた大学の二歳上の先輩・ハセオはいつも馬鹿笑いしてばかりの、女の切れない男だったが、決して神名には手を出さなかった。男ともだち。そういう呼び名以外はあてはまらない。でも、誰よりも居心地のいい相手だった。同じ種族を本能的に求めるように神名は彼と一緒にいた。
男ともだちは恋人ではない。彼には親密に付きあっている女性たちがいるだろう。でもひょっとすると、男ともだちは女たちにとって、恋人なんかよりずっとずっと大切な相手なのではないか。いつまでも変わらずに、ふとした拍子に現れては予想もつかない形で助けてくれる――。
29歳、そして30歳。
仕事と男と友情の、熱くてビターな日常を描いた傑作長編小説。
土曜日に「王様のブランチ」で特集されていてタイミングが良かったです。初めてお顔を拝見しましたが、綺麗な方でしたー。北海道出身なんですよねー。今は京都にお住まいなんですね。
29歳、今の私と同い年です。同棲している彼氏がいて愛人がいて。イラストレーターとして仕事もたくさん舞い込んできていて一応は満ち足りているはずなのに、満たされていない神名。
正直最初の神名の印象はめちゃくちゃ悪いです。神名はずっとドロドロしている感じ。彼氏にも愛人にも心は許さずにどこか見下していて、いつか報いが来るよとまでは言わないけど、このままの生活が続くわけがないよとは思いました。
私は小中がほぼ持ち上がりだったのでそれまでは男の人と普通に話せていたのですが高校で誰一人知らない環境に置かれたら男の人と話せなくなり、大学は女子大だったので同世代の男性と関わることがあまりない状態で今まで来たので、正直男女の友情って信じていない人です。ずっとそういう関係であってもどっちかは何かしらの愛情めいたものを持っているだろうと疑っている人です。勿論意見には個人差がありますからあくまで私の意見です。
ただ、神名とハセオの関係は不思議でした。神名の彼氏の言うように「男ともだち」という表現は狡いと思います。それでも二人は本当にともだちで、露月のいうように赤ん坊の状態でそのままいるような、そして美穂の言うように1度でも身体の関係を持ったら崩れてしまうような、脆いような強いような。不思議な感じでした。女性同士ならここまで明け透けにいえないことが男女だと言えるのかな。私には分からない関係。
ハセオが神名に言う言葉、私にも結構響きました。自分が求めていない仕事でもやらなければならないのかという神名に対して「無心でやれ」っていう言葉とか。「どんな仕事でもやっていればいつかどこかで役に立つからやらないのではなく無心でやれ」っていう言葉は沁みました。良いこと言うな〜。
美穂との関係も好きでした。互いが互いを羨んでいる姿が良いなと。決して妬みではなく。
王様のブランチでユイカちゃんが「最後ハセオが可哀想だった」と言っていました。私は最後、ハセオが可哀想だったとは思いませんでした。なんだかんだあってもこういう関係がずっと続いていくんだから、このまま一生二人はともだちなんだろうなと私は思えたので。しつこいですがあくまで私の意見です。
主人公は29歳という年齢に足掻いてました。私も今そうなのかもしれません。そこだけは共感できたかなー。でもきっと私も同じように30歳になったときに今まで足掻いていたのは何だったんだろうって思えるような気もします。
でも、もうちょっと足掻いていようとも思います。
番組の中で千早さんが主人公に対して「そのままでいいんだよ」というメッセージを伝えていました。それは私の心の中にもずしんときて、涙が出そうになりました。
そうか、そのままでいいのかって思えることが出来てうれしかったです。
〈文芸春秋 2014.5〉H26.6.23読了
神名に振り回されてばかりで可哀想、というのは
途中思いましたけど。本仮屋さんが言っているのは
そういうことじゃないですもんね。
ハセオはハセオで、多分神名がいてもいなくても
好き勝手に生きて行く人だと思います。
神名のことはほんとに心配なのだろうけど、
きっとそれは恋人への愛情とは全く別モノなので
しょうね。私にはよくわからない感覚でした。