Burn.‐バーン‐ (単行本)Burn.‐バーン‐ (単行本)
著者:加藤 シゲアキ
KADOKAWA/角川書店(2014-03-21)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
機械のようにさめきった天才子役・レイジが出会ったのは、魔法使いのようなホームレスと愛に満ちた気さくなドラッグクイーン。人生を謳歌する彼らに触れ、レイジは人間らしい心を取り戻し、いつしか家族のようにお互いを慈しむようになる。だが幸せな時は無慈悲で冷酷な力によって破られ、レイジはただひとつの居場所であった宮下公園から引き離されてしまう―家族、愛の意味を問う、熱情溢れる青春小説!

凄い!凄いよ!シゲ先生!面白かった〜。夢中で貪るように読みました。もったいないけど止まらなかったです。
「渋谷サーガ」3部作の最終章。
「ピンクとグレー」は面白かったけど最初の文章のまどろっこしさが惜しいなぁと思っていて。でも次作の「閃光スクランブル」で払拭され、今回はさらに物語の面白さが増していてもう本当に良かったです。
この作品は30歳の夏川レイジと10歳のレイジが交互に描かれています。
30歳のレイジは始め、20年前の記憶を失っています。天才子役と呼ばれた10歳の時に何があったのか。それが徐々に明らかになっていきます。
レイジが10歳の時に出会った徳さんが本当に魅力的な人でした。人間としてかっこいいなと思いました。ローズさんも素敵でした。レイジを学校から連れ出したところが特にかっこよかったです。
レイジは徳さんとローズに出会わなければどんな人間になっていたんだろう。記憶から消えていったのだとしてもちゃんと心には残っていて、ちゃんとした人として成長できたんだろうと思う。
奥さんとの出会いも良かった。2人は出会うべくして再び出会ったのでしょうね。
20年前に起きた出来事は予想以上の辛いものでしたが、ちゃんと思い出したことで向き合い、次につなげることが出来たんじゃないかなぁ。結末もとても良かったです。展開が良かった。本当に良かった〜。
3部作全部読んできましたが、この主人公が一番シゲさんに近かったんじゃないかなぁ。10代半ばからエリート街道を突き進んでいたり泥水を啜るようになったときも(どっちも本人が言ったことですよ←)あったけど、そうしてたくさんのことを経験したことで肥やしになって小説という形で生きているのでしょうね。凄いです、本当に。
作品の中でパルコ劇場とかシアターコクーンとか赤坂ACTシアターとか青山劇場って言葉が出てきてうれしかったですよ^^舞台業界って北海道には本当に浸透していないからこういう形で読んで知る人が増えたら嬉しいなぁとも思いました。
あと10歳のレイジが読んでいた漫画は私は漫画は読んでいなかったけどアニメは見ていたので懐かしかったりして細かいところも楽しめました。
とても面白くていい読後感だったのだけど、だったからなおさら芸能界以外の作品も書いてほしいなと思います。凄く期待しています。
読んでよかったです。
私も魂を燃やして生きていきたいなぁ。

〈角川書店 2014.3〉H26.5.22読了