
著者:乾 くるみ
文藝春秋(2007-04-10)
販売元:Amazon.co.jp
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。
ものすごくネタバレしているのでご注意ください。
すんごい前から気になっていたのですよ…でもこちらもタイミングが合わずに読まないでいました。2か月前にテレビを見ていたら有田さんがものすごく絶賛してるじゃないですか。そんなにすごいのか。じゃあ読んでみるかと思い次の日に図書館に予約しようとしたらすでにすんごい予約^^;みんな現金ねー考えることは同じねー(お前もな!)ということで2か月たってからの読了でした(前置き長!)
最後の2行にえぇ!?ってなるということですんごい色々妄想しながら読んでいたのですが(血が流れたシーンが出てきたから誰かが誰かを殺したのか?とか^^;)
確かにラスト2行は衝撃。そして案の定再び最初から読み返しました。
私が1番最初におかしいなと思ったのはSide-Bの「男女7人夏物語」と「男女7人秋物語」の話。ほぼラストじゃないかといえばそれまでで、えぇそうです。そこまでこのトリックは気付きませんでしたよ、はい。
で、最後の2行を読み終えたときにまず思ったのが、だから「たっくん」だったのかと思ったこと。わざわざそう呼んだのにはわけがあったのかと思うとぞぞっとしました。
読み返すと、時系列が分かるのでここはこうつながるのかとわかったところがたくさんありました。
まずはルビーの指輪。合コンではめていてクリスマスに無くしたといい、そのあとにたっくんがプレゼントしていて最初は無くしたという言葉を覚えていてプレゼントしたのかと思ったのだけどそう考えると会話がちょっとおかしいんですよね…。
マユが古典文学が好きなのにブルーバックスが並んでいるというのも本編に触れてないなと最初思ったのですが最後まで読んでなるほどと思いましたし。
それよりもマユの真意がつかめないのが1番気になるところでしたね〜。
時系列を見直すと、マユの方が先に動いているんですよねー。Side-Bで、ごめんね、海に先に行ってきちゃった。って書いてるけどそれはあの海のシーンだなと考えるともう恋愛に行こうとしてるのがこちらが先だとわかります。
あの「タック」まで言って別の会話にしようとしているのとか分かった後だとうわ〜と思いましたし^^;
何より1番マユが怖いなと思うのはもうネタバレって書いてるんでオブラートなしで書いちゃいますけど、中絶手術のことを隠さなきゃいけないとはいえ「便秘だった」といい、治療が終わったらスッキリしたという一言でさらっと言ってるのが怖いなと。更にいえばその中絶の割とすぐ後に処女の振りして別の男と寝たっていうのが1番こわっ!と思いました。しかも妊娠中に別の男と付き合おうとしてたんですからねー。いやいやいや←
この物語の時系列に関しては素晴らしいですし2回読みましたけど、そこまでえ〜!?とおもったり怖いと思ったりはしなかったかなー。
マユはまだ20歳で、若いからもちろん中絶したということに関しては色々嫌だなぁ悲しいなぁと思いましたし、その生まれてくることが出来なかった命が可哀想だとも思うのだけど、それでもそこまで怖い女だとは思えなかった。Side‐Aのたっくんが事実を知らないのは可愛そうだけどそれでもちゃんと互いに愛しているならばそのままうまくいけばいいなぁとも思ったんですよね。あ、でもたっくんは内定を蹴って地元就職したらダメよ←
この小説をマユと同じ年くらいに読んでいたら感想はきっと違ったと思うのですが、年を重ねたからなんでしょうかね〜…
〈原書房 2004.4
文芸春秋 2007.4〉H26.5.9読了
それにしても、マユは本当に怖いですよねぇ。「たっくん」にもですが、便秘のくだりは後で知って心底ゾッとしました。いや、ほんっとに怖かったですね・・・。
でも、読み物としては面白かったんですよね^_^;