骨を彩る
著者:彩瀬 まる
幻冬舎(2013-11-27)
販売元:Amazon.co.jp
オススメ!
見て見ぬふりをして、喪ったと思っていた、あの人、あの記憶、あの言葉が今、降り注ぐ――。
何も喪わず、傷つかず生きている人なんていない――。
「指のたより」不動産会社を営む津村は10年前に妻を亡くしていた。最近妻の夢を見る。妻はなぜか指が1本ずつなくなっていった。
「古生代のバームロール」相沢光恵は離婚して実家へ戻り、稼業のお弁当屋さんを手伝っている。恩師の葬儀でかつての同級生たちと顔を合わせる。
「バラバラ」玲子は子どもがいじめられているのではないかと悩んでいた。しかし息子に拒絶され、夫の勧めで旅行へ行くことに。玲子は父の墓参りのため仙台へ向かう。
「ハライソ」浩太郎はネットでヨシノという女性と何年もチャットをしている。浩太郎は実生活では人づきあいが苦手だが、ヨシノには気さくに話すことが出来た。
「やわらかい骨」小春は幼いころに母を失ったことで気遣う大人がわずらわしかった。ある日転校生がやってくる。その少女はある行動をしたことで同級生から敬遠されるようになった。
彩瀬さんの作品は2冊目です。どちらも大好きです。
彩瀬さんの書かれる文章が本当に好きです。言葉の運び方が凄く好き。相性が良いのかな。同世代なのもあるのかな。
この作品のテーマは喪失です。
ほとんどが人の喪失について。特に最初の作品は重たかった。
主人公たちが人の死と向き合っているのを読んでいて、私も死について考えていました。
ふと思い出したのがオカダが10周年の時に言った言葉。
「死ぬ時に自分の名前を5人覚えてくれていたらそれだけで生きてきた価値がある」
私が死ぬ時に家族以外でそれだけ覚えていてくれる人がいるかな…なんて思ってしまった。
私も大事な人を失ったことがあるから、どうしてもその人のことを考えてしまったりして。思い出す度に、そんなに時は流れたんだなとどうしようもない想いに駆られたりもします。まだ顔も声も覚えているけど、もしも思い出せなくなったら。そう思ったらものすごく悲しい。
喪失という部分では読んでいて悲しくなる時もあったけど、短編集はそれぞれ繋がっていて、そのリンクが見事でした。ちょっと雰囲気が違うのもあってよかったかも。
「ハライソ」がちょうど一段落つけるような感じでそれもよかった。
「指のたより」が1番好きだけど、だからこそ「やわらかい骨」の最後が凄くよかったです。
小春が好きだといった「ラ・カンパネラ」私も大好きです。
上手く言葉で表せないのが本当に残念。本当に本当に素晴らしい作品でした。
〈幻冬舎 2013.11〉H26.3.9読了
著者:彩瀬 まる
幻冬舎(2013-11-27)
販売元:Amazon.co.jp
オススメ!
見て見ぬふりをして、喪ったと思っていた、あの人、あの記憶、あの言葉が今、降り注ぐ――。
何も喪わず、傷つかず生きている人なんていない――。
「指のたより」不動産会社を営む津村は10年前に妻を亡くしていた。最近妻の夢を見る。妻はなぜか指が1本ずつなくなっていった。
「古生代のバームロール」相沢光恵は離婚して実家へ戻り、稼業のお弁当屋さんを手伝っている。恩師の葬儀でかつての同級生たちと顔を合わせる。
「バラバラ」玲子は子どもがいじめられているのではないかと悩んでいた。しかし息子に拒絶され、夫の勧めで旅行へ行くことに。玲子は父の墓参りのため仙台へ向かう。
「ハライソ」浩太郎はネットでヨシノという女性と何年もチャットをしている。浩太郎は実生活では人づきあいが苦手だが、ヨシノには気さくに話すことが出来た。
「やわらかい骨」小春は幼いころに母を失ったことで気遣う大人がわずらわしかった。ある日転校生がやってくる。その少女はある行動をしたことで同級生から敬遠されるようになった。
彩瀬さんの作品は2冊目です。どちらも大好きです。
彩瀬さんの書かれる文章が本当に好きです。言葉の運び方が凄く好き。相性が良いのかな。同世代なのもあるのかな。
この作品のテーマは喪失です。
ほとんどが人の喪失について。特に最初の作品は重たかった。
主人公たちが人の死と向き合っているのを読んでいて、私も死について考えていました。
ふと思い出したのがオカダが10周年の時に言った言葉。
「死ぬ時に自分の名前を5人覚えてくれていたらそれだけで生きてきた価値がある」
私が死ぬ時に家族以外でそれだけ覚えていてくれる人がいるかな…なんて思ってしまった。
私も大事な人を失ったことがあるから、どうしてもその人のことを考えてしまったりして。思い出す度に、そんなに時は流れたんだなとどうしようもない想いに駆られたりもします。まだ顔も声も覚えているけど、もしも思い出せなくなったら。そう思ったらものすごく悲しい。
喪失という部分では読んでいて悲しくなる時もあったけど、短編集はそれぞれ繋がっていて、そのリンクが見事でした。ちょっと雰囲気が違うのもあってよかったかも。
「ハライソ」がちょうど一段落つけるような感じでそれもよかった。
「指のたより」が1番好きだけど、だからこそ「やわらかい骨」の最後が凄くよかったです。
小春が好きだといった「ラ・カンパネラ」私も大好きです。
上手く言葉で表せないのが本当に残念。本当に本当に素晴らしい作品でした。
〈幻冬舎 2013.11〉H26.3.9読了
私も一作読んで、この方の感性いいなーと
思いました。
一作目と最後の作品の情景がリンクしている
ところがすごく素敵だなーと思いました。
父と母と娘、全員が同じ情景を観て綺麗だと
思えるっていいですよね。家族の繋がりも
感じられる良いシーンだったと思います。
彩瀬さん、今後注目の作家さんになりそうです。