漁師の愛人著者:森 絵都
文藝春秋(2013-12-16)
販売元:Amazon.co.jp
〈問題は、私たちが今、幸せであったらいけないと感じていることかもしれない〉
震災から一か月足らず。女三人でシェアハウスして暮らす毎日があの日から一変してしまった。藤子の恋人(カフェ経営者)は、炊き出しボランティアで各地をまわり、ほぼ音信不通。ヨッチは、彼氏がホテルから妻のもとに逃げ帰って以来、微妙な感じ。眞由に至っては、大地震の三日後にこの家を出て行ったきり、帰ってこない。雨もりの修理にたびたびきてくれる63歳の小西とのなにげない会話と、豚ひき肉の新メニュー作り、ビーズ細工のストラップ作りが、余震のさなかの藤子の毎日を支えていたのだが。2011年春の、東京のミクロな不幸と混乱を確かな筆致で描いた「あの日以後」
〈驚愕しながら、あきれながら、時に笑いながら、何度でも思う。ここはどこ?〉
妻子持ちの音楽プロデューサー、長尾の愛人だった紗枝。会社の倒産ののち漁師への転身を決めた彼の郷里へ伴われ、移り住むことになったのだが、身内意識のつよい漁師町で「二号丸」と呼ばれていることを知ったのは、やって来て、たったの十日だった。「妻」から時折かかってくる長電話に、敵意にみちたまなざしを向ける海の女たち。潮の匂いと海上にたちこめる白い霧。いつまでも慣れることのできない生活でいちばんの喜びは、東京にいたころよりはるかに生き生きとしてみえる長尾の笑顔だったが、彼が漁師仲間の喜寿祝いで紗枝を紹介する、と急に言い出した――閉塞する状況を覆す、漁を生業とする男たちと女たちの日々の営みの力強さ、すこやかさ。圧倒的な生の力を内に秘めた「漁師の愛人」
その他に【プリン・シリーズ】三篇を所収。
やっぱりプリンにまつわるシリーズだったのか(笑)
森さんの短編集。短編集ですが短いのは凄く短くて上記2編が中編くらいでしょうか。
まずは短編3編について。
プリンシリーズは1番最初のお話が好きです。
いつもプリンのような豪華なデザートが出ると必ず1,2個足りなくなるこのクラスの大問題。先生はいつも給食のおばちゃんに頭を下げてプリンをもらいにいく。それが我慢ならないらしくほぼ感情的に児童たちを叱る。まあ28歳だもんねーこんな感じだよねー。私が中学生の時の担任25歳くらいだったけどこんな叱り方はしなかったけどねー。そんな怒り方がまるで子供な先生に対し対抗する「僕」。でもいつも負ける。今回も負けを喫したけど、最後の先生への言葉はスカッとしました。最後にある行動に出たこともスカッとしました。
他のプリン2編は大人が子供だなっていう感想←
「あの日以後」は東日本大震災で何かが変わってしまった女性3人の物語。いろんな感情をぶつけ合って、3人とも前を向けてよかったです。私が住んでいるところは震度3で、北海道は割と地震が多いのでそこまで敏感にはなっていないのだけど、以前東京へ舞台を観に行ったときに何度か舞台を観ている間に地震が起きたときの周りの反応が敏感すぎてビックリした記憶が。東北の方々はもちろん関東圏に住む人たちにも大きな影響を与えたのだなと改めて思いました。
「漁師の愛人」私はここまで隔離された近所の人たちとの距離感が近い場所に住んだことがないので、共感は出来なかったですが、紗枝のような境遇で来た人は恰好のネタでしょうね。よそ者って言うだけでも目立つしましてや相手の親戚がうようよいる場所なんて。行く決心をしたのすら凄いと思います。境遇が違えば居心地が良かったりもするのだと思うけど。
それでも紗枝もちゃんと前を向いて生きようとして、お友達もできてほっとしました。
〈文芸春秋 2013.12〉H26.2.24読了


「あの日以後」は震災が関東圏に住む人たちの中にも影響を受けている人がいるんだということを感じました。
表題作は、周りから白い目で見られているってつらいだろうな。
そんな中でも、自分を見失わずにいてほしいと思いました。