天使の柩 (天使の卵)天使の柩 (天使の卵)
著者:村山 由佳
集英社(2013-11-05)
販売元:Amazon.co.jp

「世の中がどんなにきみを責めても、きみの味方をするよ」14歳の少女・茉莉(まり)が出会った20歳年上の画家――その人の名は、歩太(あゆた)。望まれない子どもとして育ち、家にも学校にも居場所がないまま、自分を愛せずにいる少女・茉莉。かつて最愛の人・春妃(はるひ)を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた歩太。公園で襲われていた猫を助けようとして偶然出会った二人は、少しずつ距離を近づけていく。歩太、そして彼の友人の夏姫(なつき)や慎一との出会いに、初めて心安らぐ居場所を手にした茉莉だったが、二人の幸福な時間はある事件によって大きく歪められ――。『天使の卵』から20年、『天使の梯子(はしご)』から10年。いま贈る、終わりにして始まりの物語。

村山さんご本人もおっしゃっていましたが、まさか歩太と夏姫が30代になるまでシリーズが続くとは思いませんでした。でもこれが本当の完結なんですね。
村山さんの作品はそれほど読んでいませんが、作風から白村山、黒村山と呼ばれているそうですね(乙一さんもですが)
この作品はもう究極の白!まぁ〜〜っしろです。
凄くできすぎた感がなくはないんですけど^^;でもこのシリーズはこれでいいんだ!このままでいさせて!と思います。
正直30代まで出す必要があるのかと思いましたが、この作品はこの作品で好きでした。
家にも学校にも居場所がなく、祖母が生きている間散々罵られて生きてきた茉莉。自分の顔を見るのが大嫌いで、自分は望まれないで生まれてきたと思ってる。たった14歳なのに、大きな陰を背負っていて、読んでいて切なかったです。夏姫が言うように、もっと14歳らしく甘えればいいのにと思いました。
茉莉が歩太やザボンを守るために取った行動は、健気だけど浅はかで、茉莉にはちゃんとした大人が傍にいて助言をしてあげないとダメだと思いました。本の知識が多く備わっていて頭のいい子だからなおさら。
だから、歩太や夏姫に出会って本当によかったと思います。
歩太も、茉莉と出会ったことで春妃とのことに関してもちょっと決別した部分があったように思うし。
にしても途中でもしかしたら歩太と春妃の間に生まれるはずだった子ってもしかしたら生きてたら茉莉と同い年!?それって凄く運命だな!と思っていたら微妙に違って肩すかし^^;まあ、そこはいいんですけど。
前作はどちらかというと夏姫の物語だったので、歩太の物語を見ることが出来てよかったと思いました。
最後の歩太のお母さんの言葉にちょっとむふふと思いつつ、でもそれはまた別の物語で、きっと読者が自由に想像していく物語になるんだろうなと思います。

〈集英社 2013.11〉H26.1.6読了