サエズリ図書館のワルツさん 2 (星海社FICTIONS)サエズリ図書館のワルツさん 2 (星海社FICTIONS)
著者:紅玉 いづき
講談社(2013-08-20)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
天命、みたいな、仕事って、この世にきっと、あるはずだ――
“図書修復家”、それは本を“未来”へと繋ぐ、強く、孤独な職人たち。
就職活動に全敗し、頼みの綱でもあった「LB(リストベース)管理者採用試験」も体調不良による棄権を余儀なくされた千鳥さん。ただ、自分にとっての天職を見つけたいだけなのに……。自分に自信がなく、といって好きなことも思い浮かばず、回復しない体調に苛立ちながら、なやみ、うなだれていた彼女に差し伸べられたのは、人々の羨望を集めた“神の手”を持ちながらも、紙の本が稀少化したこの世界に絶望した、ひとりの“図書修復家”の手だった――。
“本の未来”が収められた、美しく、不思議な図書館を、紅玉いづきが紡ぐ待望のシリーズ第二弾。

好きだなぁ…やっぱり好きです。本の事が大好きな作家さんが書かれているなということが分かって凄く嬉しくなります。
この作品の舞台は遠い未来の話。紙の本がとても貴重となり、電子が飛び交う時代。
そんな時代でも本を素手で触ることが出来て貸し出しも可能であるサエズリ図書館。
その図書館に就職活動中の千鳥さんがやってきます。
何度もお祈りメールが届き、また身体も弱い。そんな自分に自信がなく自分にとっての天職を見つけようともがく千鳥さん。
千鳥さんの気持ちは凄く分かります。自分は何者でどんな仕事に就きたいのか、どんな仕事をしたいのか。私もいまだに考えます。だから千鳥さんが「図書修復家」に出会ってからの日々は私は羨ましかったです。「弟子は取らない」と言われ頑なに拒まれ続けても、やりたいと思える仕事に向き合う千鳥さんは危なっかしいけど羨ましく感じました。
そして「天職じゃないですか」と言われたあの一言。私はそう言われたらその言葉だけで生きていけるような気がします。それはきっと千鳥さんも同じなんだろうな。本の表紙の千鳥さんの表情が凄く素敵です。
今回もこの作品を読むことが出来て良かったです。
・・・と思っていたら最後のサトミさんの衝撃的な告白。
ま、マジですか?飛行機の中で読んでるんじゃなかったら叫んでましたけど・・・。
そんなオチまでついていて最高の読書でした。

<講談社 2013.8>H25.11.2読了