桜の首飾り
著者:千早 茜
実業之日本社(2013-02-07)
販売元:Amazon.co.jp
桜の花びらで作った首飾りは、すぐにしおれてしまう。でも、桜と人の間には、さまざまな物語がひそんでいる。泉鏡花文学賞受賞作家による、女と男たちの幻想、羨望、嫉妬、自己回復、そして成長のストーリー七編。
「春の狐憑き」美術館勤務のわたしの昼休み。初老の男性が言う。狐は人の健全な心を喰うのだとか。喰われると心が解放されるらしい。
「白い破片」花見場所取りの際の雨宿り。声をかけてきた人懐っこい女。そこで俺が思いだしたのは、冷たい笑いをする過去の女だった。
「初花」元女優のママは、小六のあたしを無理やり華やかな世界で注目させたがる。花屋さんに新しい人が入ってきた。それ以来私はそこへ行くようになる。
「エリクシール」わたしは夫の亡妻の身代わり……それに気づいてしまった女は、
バーで知り合った男と愉悦の時間をもっていたが。
「花荒れ」国税局の男に私は、「ゆきちゃん」と名乗る女との関係を聞かれたが、
二人の関係は和菓子がきっかけに過ぎなかった。
「背中」大学内外から持ちこまれる資料を整理するバイト中の僕。四角四面の上司のもとに、刺青の標本を見たいという女の電話が…。
「樺の秘色」亡くなった祖母の家の庭に私が見た少女の幽霊。家族にもわからない少女の姿を見えていそうなのは、私のほかに風来坊の男。
桜に纏わる7つの短編集です。
どの作品もどこか不思議で、温かい作品でした。「春の狐憑き」が好きでした。主人公の「わたし」の気持ちが何だか分かるなぁと思って。ただ尾崎さんが結局よく分からなかったけど。「初花」の緋奈は可哀相だったなぁ。それでも花屋のお姉さんと出会ったことで大人になりましたよね。お母さんよりもよっぽど大人。芸能人に入っても入らなくても、素敵な女性になると思う。
「エリクシール」のわたしの酔いたいけど酔えないという気持ちが凄く切なかった。もう自分のために逃げ出していいと思う。「背中」も良かった。一ノ瀬さんは僕を試していたのかな。ただの頑固じゃないのがよかった。
作品も良かったですが、あとがきも好きでした。
千早さんは江別市出身の道産子なんです。私も正直桜ってあまり印象がないんです。千早さんもおっしゃっていましたが、北海道の桜って、桜が咲くと同時に新緑も出てくるのでピンク一色じゃないんですよね。綺麗は綺麗なんですけどそれほど印象が強くなくて。
昔3月に長崎に旅行に行ったんですけど、その時にピンク一色の濃い色の桜を見て「何て綺麗な桜なんだろう」と初めて思ったんです。そんなもんです。
それでもこの作品を読んで、桜の儚さや美しさを感じることが出来た気がします。
北海道で桜が咲き始めるのは2か月後くらいですが、ちゃんと見てみようかなと思いました。
〈実業之日本社 2013.2〉H25.3.4読了
著者:千早 茜
実業之日本社(2013-02-07)
販売元:Amazon.co.jp
桜の花びらで作った首飾りは、すぐにしおれてしまう。でも、桜と人の間には、さまざまな物語がひそんでいる。泉鏡花文学賞受賞作家による、女と男たちの幻想、羨望、嫉妬、自己回復、そして成長のストーリー七編。
「春の狐憑き」美術館勤務のわたしの昼休み。初老の男性が言う。狐は人の健全な心を喰うのだとか。喰われると心が解放されるらしい。
「白い破片」花見場所取りの際の雨宿り。声をかけてきた人懐っこい女。そこで俺が思いだしたのは、冷たい笑いをする過去の女だった。
「初花」元女優のママは、小六のあたしを無理やり華やかな世界で注目させたがる。花屋さんに新しい人が入ってきた。それ以来私はそこへ行くようになる。
「エリクシール」わたしは夫の亡妻の身代わり……それに気づいてしまった女は、
バーで知り合った男と愉悦の時間をもっていたが。
「花荒れ」国税局の男に私は、「ゆきちゃん」と名乗る女との関係を聞かれたが、
二人の関係は和菓子がきっかけに過ぎなかった。
「背中」大学内外から持ちこまれる資料を整理するバイト中の僕。四角四面の上司のもとに、刺青の標本を見たいという女の電話が…。
「樺の秘色」亡くなった祖母の家の庭に私が見た少女の幽霊。家族にもわからない少女の姿を見えていそうなのは、私のほかに風来坊の男。
桜に纏わる7つの短編集です。
どの作品もどこか不思議で、温かい作品でした。「春の狐憑き」が好きでした。主人公の「わたし」の気持ちが何だか分かるなぁと思って。ただ尾崎さんが結局よく分からなかったけど。「初花」の緋奈は可哀相だったなぁ。それでも花屋のお姉さんと出会ったことで大人になりましたよね。お母さんよりもよっぽど大人。芸能人に入っても入らなくても、素敵な女性になると思う。
「エリクシール」のわたしの酔いたいけど酔えないという気持ちが凄く切なかった。もう自分のために逃げ出していいと思う。「背中」も良かった。一ノ瀬さんは僕を試していたのかな。ただの頑固じゃないのがよかった。
作品も良かったですが、あとがきも好きでした。
千早さんは江別市出身の道産子なんです。私も正直桜ってあまり印象がないんです。千早さんもおっしゃっていましたが、北海道の桜って、桜が咲くと同時に新緑も出てくるのでピンク一色じゃないんですよね。綺麗は綺麗なんですけどそれほど印象が強くなくて。
昔3月に長崎に旅行に行ったんですけど、その時にピンク一色の濃い色の桜を見て「何て綺麗な桜なんだろう」と初めて思ったんです。そんなもんです。
それでもこの作品を読んで、桜の儚さや美しさを感じることが出来た気がします。
北海道で桜が咲き始めるのは2か月後くらいですが、ちゃんと見てみようかなと思いました。
〈実業之日本社 2013.2〉H25.3.4読了
北海道の桜は葉もすぐに出てくるって言うのは初めて知りました!こちらでは「桜=ピンク一色」というイメージなので。苗坊さんの記事を読んで、日本って狭そうで、やっぱり広いんだなぁと改めて感じました。