無花果とムーン無花果とムーン
著者:桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング)(2012-10-20)
販売元:Amazon.co.jp
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「あの日、あの瞬間がすべて。時間よ、止まれ」あたし、月夜は18歳。紫の瞳、狼の歯を持つ「もらわれっ子」。ある日、大好きなお兄ちゃんが目の前で、突然死んでしまった。泣くことも、諦めることもできない。すべてがなんだか、遠い―そんな中、年に一度の「UFOフェスティバル」が。そこにやってきた流れ者の男子・密と約。あたしにはどうしても、密がお兄ちゃんに見えて―。少女のかなしみと妄想が世界を塗り替える。そのとき町に起こった奇跡とは。

突然自分の目の前で兄、奈落が死んでしまった。それ以降、月夜は何だかおかしくなります。月夜が情緒不安定になっていくのでただ奈落がいなくなってしまった喪失感から来ているのかと思い、また自分がもらわれっ子だというのもあって複雑な気持ちを抱いているのかなと思っていました。
そのうじうじしている感じが長く続くのでいったいどういう展開になるんだろうと思っていたのですが、話はちょっと違う方向へ向かいます。
月夜は夢の中で奈落に会い、明日会いに行くよと言われます。そこで出会った密という少年。その密が月夜には奈落にしか見えなくなります。
でも、月夜以外の人は密に対して何も感じていなかったようなので、月夜の悲しみと妄想がそうさせたのかなと思います。それでも密はそんな月夜を邪険にせずにちゃんと話を聞いてあげていました。それは良かったです。
でも、月夜の独りよがりな感じがどうも・・・慣れないし好感も持てず・・・
月夜の本当の悩みが分かって、月夜が壊れかけた時のおとうさんと兄貴が良かったです。2人は本当に月夜の事を大事な大事な娘だと思っているんだなと思ったので。
そしてなんだかんだで周りの人たちも月夜の事を気にかけていましたよね。友人たちも色々言ってましたけど、どっちもどっちかな。遠藤苺苺苺苺苺(いちご)先輩←すげぇ名前だな。ともいいコンビに感じました。
これからはきっと奈落の分まで生きていけると思いました。
月夜の一人称の語りはなかなか慣れなかったけど^^;

〈角川書店 2012.10〉H24.10.31読了