東京・オブ・ザ・キャット東京・オブ・ザ・キャット
著者:森 晶麿
PHP研究所(2012-07-27)
販売元:Amazon.co.jp
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近未来の東京、法律レベルですすめられた愛猫運動は気がつくと東京を愛猫都市に変えていた。
飼い猫ばかりか野良猫も町中に溢れ、様々なトラブルが続出してた。
被害で困っても、保健所が受け付けるのは猫以外の動物ばかり、警察も猫の被害の相手はしてくれない。
しかもそのトラブルには不可解な事件性を帯びたものも多数ふくまれていた。
…それは日常と非日常を行き来したり、人間に変化したりする特殊な猫たちが起こすトラブルだった。
そんな猫に苦しめられる人々を助ける謎の組織「猫トラブル解決堂」通称「猫トラ」。そこでバイトすることになった高校生男子のクラノタケヒコ(通称ボンクラ)は絶世の美女だが猫アレルギーの女王様社長・在不在(いぬい)ハリコと、不思議少女・秋野ヒューリとともに「猫」をめぐる「トラブル」と「トライアングル(三角関係)」に頭を悩ませることになる…
アガサクリスティー賞受賞作家・森晶麿が猫にまつわる七つの奇譚を描く。
「できれば最初に読んでほしいプロローグ」
「解剖坂バニッシュ」
芸能人の井戸田ヨーコから依頼を受けた。ヨーコの家へ行ってみるとヨーコの姿はなく、妹のケイコがいた。中はもぬけの殻で電子レンジの中になぜか猫がいた。
「猫又橋の三毛猫スイートホーム」
夜にいきなり電話が鳴った。ベランダに顔が猫だがスレンダーな女性がいて離れないのだという。その男は新婚で妻も子供もおり、とても困っているから追い払ってほしいという。
「庚申坂ニャンセプション」
お金持ちのお嬢様アリスから依頼を受ける。半月前に祖母を亡くし、遺産についての話を受けたのだが、夢の中で、買っていたダイヤが記憶の鍵を奪ったためにその遺産についてをすっかり忘れてしまったのだという。クラノとヒューリはアリスの意識の中に入り真相を探る。
「三四郎池ユートピアwithoutCAT」
クラノのかつてのクラスの同級生水無月シヅカが依頼にやってきた。猫が嫌いなのでこの世の猫を全て殺してほしいという。しかしシヅカは猫を抱いてやってきていた。その奇妙な姿にクラノとヒューリはシヅカの自宅を訪れる。一方ハリコは桃木健一郎というかつての兄の同僚である研究者の元へ向かっていた。
「真浄寺ゴールデンスランニャー」
クラノが総理大臣の宮尾弐夜夫を殺害した疑いで指名手配を受けていた。もちろん自分は殺していない。クラノは事務所へ行くことも出来ずに逃げ回る。
「薬缶坂モーフ・ザ・キャットまたはエピローグ」

森さんの作品を読んでお気に入りになったので新刊が出る度に読んでいるのですが…
最初の印象と読むたびにガラリと変わって何だか今では印象が全然違います…って自分が勝手に想像していただけなんですけど。
この作品も最初の設定があまりにもぶっ飛んでいるし登場人物たちの話もどこまで本当でどこまでふざけているのかが分からず(ちゃちゃも多いし)読むのを止めてしまおうかと冒頭で思ってしまったりしていたのですが、最後まで読みました。
設定はぶっとんでますし、会話も変な方向へ行ったり横やりが入ったりしますが、そこを気にしないで読んでいくと面白かったです。(すみません、褒めてるつもりです)
それぞれ3人が探偵にふさわしい?能力を持っているので物おじせず事件に挑みます。それが読んでいて気持ち良かったです。3人の言葉の掛け合いが何ともかみ合ってるんだかいないんだかですが^^;
クラノもハリコもヒューリも正体に関しては一癖も二癖もある感じで、最後の章は驚いてばかりでした。
これから3人の関係性はどうなっていくのか気になりました。面白かったです。

〈PHP研究所 2012.7〉H24.8.22読了