キシャツーキシャツー
著者:小路 幸也
河出書房新社(2012-07-14)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

仲間のこと、家族のこと、将来のこと、そして、特別な誰かを想うということ。…それぞれの悩みを海風に揺らしながら、一両編成の電車は、今日もゆっくりゆっくり海岸線を走っていく。じんわり染み渡る汽車通学小説。

相変わらずの小路クオリティですね。安定感があります。
今回の舞台は北海道の片田舎。(で当たってる?)
キシャツー(汽車通学)をしているはるか、あゆみ、このみ。砂浜に赤いテントが張られているのを見つけます。
そこには同世代の少年、宮谷光太郎がいました。彼はある目的のために東京からやってきたのだけど、光太郎と地元の人間である人たちとのかかわりがほんわかしていて素敵です。
まあ、例によって例のごとくご都合主義な気がしなくもないですけど、それも醍醐味ですよね。
仲良し3人組も酒井もいい人だったけど、個人的に好きだったのは野島さんでした。
光太郎の目的がテーマ?ではあると思うのだけど、高校生が悩む進路についてだったり恋愛についても出てきます。
野島さんはいつも無表情でガードが堅いイメージだったのに、あるきっかけから変わっていきます。その変わり具合がとても可愛くて魅力的です。
光太郎が決死の覚悟で旅に出たことで、地元の人たちの心も突き動かしたというその展開が私は好きでした。
そして夏休みは8月18日までとか道民はつい電車を汽車と言ってしまうとか道産子ネタが登場して嬉しかったです。
私も言っちゃいます。汽車って。よく親に止めなさいと言われます。

<河出書房新社 2012.7>H24.8.1読了