刑事の子 (BOOK WITH YOU)刑事の子 (BOOK WITH YOU)
著者:宮部 みゆき
光文社(2011-09-17)
販売元:Amazon.co.jp
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中学一年生の八木沢順は、刑事である父・道雄が離婚したため東京の下町に引っ越すことに。開発が進むその町で、優しい家政婦のハナとの三人の生活に慣れたころ、奇妙な噂が流れ込む。近くの家で人殺しがあった、と…。そんな噂とともに、バラバラ殺人事件が実際におきてしまう。町が騒然とする中、順のもとに事件の真犯人を知らせる手紙が届く。刑事の子・順は、友人の慎吾とともに捜査に乗り出す。

この作品は最初新刊なのかと思っていたのですが、割と初期のころの「東京下町殺人暮色」の改訂版なんですね。改訂というか中高生むきになったというか。
その「東京下町殺人暮色」という作品を私は読んでいないのでどう変わったのかが分からないのですが面白かったです。時代錯誤を感じたりするのかなと思いましたがそこまで感じませんでしたし。芸能の人が言った「オバン」という言葉だけウケたけど。
主人公の順は中学1年生とは思えないくらいとてもしっかりした男の子。
親が離婚して、母親は再婚が決まっていたから一人になってしまう刑事の父親について行くことを選んだ。
子どもは親にとってはいつまでたっても子供だけど、子供だから分からないっていうわけじゃないんですよね。だからちゃんと言ってくれないことにイラつくのは何となく気持ちが分かるな。
それでも危なげないところもありつつ、順は頑張っていましたね〜
そして躾の行き届いた優しい子。
親が家にいることが少ないからちゃんとしなきゃと思っているからっていうのがあるのだと思うとちょっと切ないですが。それでもこれからはハナさんがいるから安心ですかね^^
にしても犯人には腹が立ちました。未成年という問題、ずっと今でも根強く問題になっていますが何とかならないものでしょうか。
どうして加害者が守られるような状況が出来るんでしょうか。
今はだいぶ改善されましたけど、被害者家族が加害者のことを知ることが出来ないとか、おかしいですよね。
年齢が若いから、社会復帰が出来るかもしれないから。そういうけど、被害にあった亡くなった人に未来はないのにどうしてそんな事言えるのかな・・・とか。
こういう未成年の犯罪の小説を読むたびに思います。
凄く後味は悪かったですけど、それでも順とハナの優しさに救われたような気がしました。

<光文社 2011.9>H24.3.19読了