仙台ぐらし
著者:伊坂 幸太郎
荒蝦夷(2012-02-18)
販売元:Amazon.co.jp
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タクシーが多すぎる、見知らぬ知人が多すぎる、ずうずうしい猫が多すぎる…。仙台在住の作家・伊坂幸太郎が日々の暮らしを綴る。『仙台学』掲載を中心に書籍化。書き下ろし短編「ブックモビール」も収録。

荒蝦夷という社員3人とアルバイトが働く小さな出版社だそうです。
この本が出版されていたことを知り、まず出版社が聞いた事がないなぁと思ったのですが、伊坂さん地元の出版社だったんですね。
去年震災が起きて、心配だったことの一つに伊坂さんの安否がありました。
テレビに出ている方ではないので近々の状況が分からなくて大丈夫かなと。
この本が出ることを知ってあ、ご無事なんだと思ったのが最初で。
でも、やはり色々な部分で大変だったんですね。
タイトルから震災後に書かれたものだと勝手に思っていたのですが、震災前に「仙台学」という地域誌で連載されていたものなんですね。
「〜すぎる」シリーズ面白かったです^^
タクシーが多すぎるの話も面白かったですし、機会に頼りすぎている話も面白かったし、猫と闘っているのも面白かったです。
特に印象的だったのは「映画化が多すぎる」ですかね。
伊坂さんもそう思っていたのか^m^って思ってしまった。
でも、伊坂さんが心配していた、よく映画化されるから映画観るから原作を読まなくていいか〜っていう問題は心配する必要はないと思いますけども・・・
小説と映像はやはり全く別物ですからね。
私は基本的に小説の映像化は嫌いなのですが、伊坂さんの映像化は嫌いではないんですよね。多分、中村監督の作品だから良いのかなぁと思います。中村監督以外の作品を見たことはないんですが。
中村監督は本当に伊坂作品が好きなんだろうなぁって映画を見ていても思うんです。2人のやり取りも可愛らしくて面白かったし。だから私もきっと許せるんだろうなと。
エラそうに言ってますが「重力ピエロ」と「アヒルと鴨のコインロッカー」しか見たことないんですけどね^^;
そして伊坂さんのエッセイ自体がとても面白かったのですが、伊坂さん本当に日頃からこんなに心配性な方なんでしょうか^^;こんなに心配性な方がよくエンジニア何て仕事をしていたなあとか、よく仕事を辞めて小説一本で食べていこうって決意したなぁとか思ったのですが。
そしてエッセイを読んでいて奥さんとのやり取りがいつも可愛いなと思っていたのですが、今回もありました^^
伊坂さんが出会った不思議な老人と、伊坂さんの息子さんが同じ行動をしたため、その老人は息子の数十年後の姿だったのではないかと想像した時、奥さんが「私も同じことを思った」って言ってるのが凄い!と思って。伊坂さんの想像を笑ったりからかったりしなかったうえに自分もそう思っただなんて!スバラシイ夫婦です〜。
そして震災の事。伊坂さんも書けない時期があったんですね。
それでも「僕は、楽しい話を書きたい」と言ってくださったことがファンとしてとてもうれしかったです。通りすがりの方がおっしゃったように「こんな大変なことが起きちゃったけれど、また楽しいのを書いてくださいね」と私も言いたいです。
そして最後の短編「ブックモビール」は被災地を行く移動図書館の話。
ちょっと想像だにしない話が入ってるのが伊坂さんらしい。とても前向きになれる作品でした。
これからもどんな形でも伊坂さんの作品を楽しみにしていています。

<荒蝦夷 2012.2>H24.3.16読了