ダークルーム (角川文庫)ダークルーム (角川文庫)
著者:近藤 史恵
角川書店(角川グループパブリッシング)(2012-01-25)
販売元:Amazon.co.jp
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「マリアージュ」シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、不審に思った内山が問いかけると、女は意外な事実を語りだして…
「コワス」明充は好きな女性が出来、3年間付き合っていた友子に別れを切り出した。友子はその後自殺をし、それ以来、彼女の貴佐の様子がおかしくなった。
「SWEET BOYS」真紀と孝哉には親友同士で夫婦になった涼子と毅がいた。2人には忍という子供がいた。しかし、涼子が育児ノイローゼになって自殺したという。真紀には涼子の死の理由が分からない。少しの間真紀たちは忍を預かることになった。
「過去の絵」芸術大の同級生に牧という男がいた。彼の叔父は小野寺という画家だった。その小野寺に学生が注目していたころ、牧に盗作疑惑が浮上する。
「水仙の季節」はるのとあきのという双子モデルの写真を撮ることになった木下は双子と親しくなる。しかし、その双子のマネージャーが何者かに殺害された。
「窓の下には」久美の住むアパートの下の階に親子が引っ越してきた。そこには人形のように可愛い女の子とウサギがいた。久美は彼女と仲良くなりたかったのだがなかなか会うことが出来ない。
「ダークルーム」琢己が榊と出会ったのは専門学校だった。カメラを専門としており、琢己は榊のカメラ技術に惹かれた。2人は次第に恋愛へと発展していくが、琢己には気になることがあった。実家で暮らす母と、やたらと自分にべったりしている友乃の事だった。
「北緯六十度の恋」多佳子と園子は旅行でフィンランドへ来ていた。2人は恋人同士だ。多佳子はもしかしたらこれが園子との最後の旅行だと思っていた。多佳子には園子にずっと隠し続けていることがあった。

近藤さんの短編集です。
いや〜凄いです。解説の方も書かれていますが、近藤さんは本当にたくさんの引き出しがありますね。どの作品もちょっとミステリっぽいのですが、ほわっとしたいい感じで終わるものもあれば、ぞぞっとする終わり方もあり。近藤さんの書かれる本はどっちの終わり方も好きです。
全く予期していなかった終わり方だったのは「SWEET BOYS」かな。終わり方が怖くて痛かった。自分たちが良ければいいの?って、容姿に自信のない私は主人公の女の子たちと同じようなことを想った。
良かったのは「北緯六十度の恋」2人の共通点と多佳子のもくろみは驚いたのだけど、それでも本当に気づいて良かった。幸せな気持ちになれた話でした。
やっぱり近藤さんの作品は好きだー!
また今月新刊が出るので楽しみです。

<角川書店 2012.1>H24.3.1読了