傷痕傷痕
著者:桜庭 一樹
講談社(2012-01-12)
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この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。多くの人が彼について語り、その真相に迫ろうとする。偉大すぎるスターの真の姿とは?そして彼が世界に遺したものとは?―

以前王様のブランチで、この作品の前に刊行された本の取材の時に仕事部屋にマイケル・ジャクソンのありとあらゆる資料が置かれていて、今度の新しい小説に必要な資料だと言っていたのを覚えています。
それがこの作品なんですね。
内容は知らずに読んだのですが偉大なるキング・オブ・ポップが亡くなったことから各章別々の主人公が彼について語るという形式です。
娘、傷痕や彼のファン、彼を追うジャーナリスト、彼に復讐を誓う娘、彼の姉など様々な視点から描かれています。
彼に関する印象は人によって異なり、様々な視点からの彼の人物像が描かれていきます。
偉大なるキング・オブ・ポップの知られざる素顔、心の中の想い、生き方をこの物語6章で綴られています。
私はマイケル・ジャクソンについては全然知らない人なのですが、桜庭さんがモデルとしたのは、スキャンダルの部分ではなく、彼の生き方や存在そのものについてを伝えているような気がします。
傷痕は優しい偉大なる父を失い、どのように生きていくのでしょうか。
きっといろんなことがあると思うけど、強く生きていってほしいなと思いました。

<講談社 2012.1>H24.1.27読了