しあわせのパン (ポプラ文庫)しあわせのパン (ポプラ文庫)
著者:三島有紀子
ポプラ社(2011-12-06)
販売元:Amazon.co.jp
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北海道洞爺湖畔の静かな町・月浦に、りえさんと水縞くんの営むパンカフェ「マーニ」があった。実らぬ恋に未練する女性・香織、出ていった母への思慕から父親を避けるようになった少女・未久、生きる希望を失った老夫婦・史生とアヤ……さまざまな悩みを抱えた人たちが、「マーニ」を訪れる。彼らを優しく迎えるのは、りえさんと水縞くんが心を込めて作る温かなパンと手料理、そして一杯の珈琲だった。映画界の俊英・三島有紀子による初の小説執筆作品。映画「しあわせのパン」から生まれた、とびっきり香ばしくて温かい物語。特別付録として絵本「月とマーニ」を巻末に収録。
「さよならのクグロフ」
香織にはとてもイケメンの彼氏、岡田がいた。二人で沖縄旅行へ行く予定だったのに空港に彼は現れない。香織は真逆の北海道へ行くことにした。
「ふたりぼっちのポタージュ」
未久のお母さんは出て行った。それ以来未久は父親を避けるようになる。母親が作ってくれた「かぼちゃのポタージュ」が大好きだったのに、もう食べられない。
「壊れた番台とカンパニオ」
史生は年上の妻が病気となり死に場所を求め、月浦の地へやってきた。
「カラマツのように君を愛す」
水縞はたった2度しか会っていないりえに「月浦で暮らそう」と言った。
東京で出会った二人が月浦へ移り住み、カフェマーニを開店させそして今。
今までのこと、そしてこれからのことが水縞の日記で綴られる。

映画の予告を頻繁に目にするようになり、この作品のことがとても気になっていました。
洋ちゃんが出ているっていうだけで興味を引かれるのだけど。といいつつ以前ずっと気になっていた「探偵はバーにいる」も結局見ていないのだけど^^;
監督さんが小説版も書かれているという事だったので読んでみました。
何となく想像していたけど、その想像以上にとても素敵で温かい作品でした。
やはりりえと水縞の雰囲気が良いです。とても暖かくて包んでくれるような雰囲気。
さりげない気配りも、人を落ち着かせているような気がする。
それぞれ人の悩みはあるのだけど、みんなマーニへ行くと次第に心を取り戻していくような。そんな感じがしました。
監督さんの書かれている作品だからかわかりませんが、もうりえさんと水縞くんがまんまあのお二人にしか感じませんでした。
そうか、水縞くんはかっこいい顔ではないんだ、でも親しみのもてる青年っていうのが洋ちゃんぽいなって思ったり。りえさんの微笑みは原田さんがにこって笑っているような感じがしたし。
にしても水縞くんとりえさんは夫婦のようだけどどこか距離が離れているような。でも、絆は深そうなような。何だか不思議な関係だなと思ったら最後の章の水縞君の日記を読んで驚きました。
そんな感じの2人の出会いでそんな感じで月浦に来たのかと結構驚く展開だった。
でも、それが良かったのかもしれないですね。
月浦で2人の関係を築いていけたのかなと思います。
2人のお互いへの言葉がとても好きでした。
2人の未来はきっと明るいと思います。
何だか読んでいる私まで癒された作品でした。
やっぱり映画観たいなぁ。

〈ポプラ社 2011.12〉H24.1.17読了