ヒートヒート
著者:堂場 瞬一
実業之日本社(2011-11-17)
販売元:Amazon.co.jp
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「山城に、世界最高記録を狙わせろ!」
「こんなレースはインチキだ――」
日本男子マラソンの長期低迷傾向に歯止めをかけるため新設された「東海道マラソン」。
神奈川県知事の指令のもと、あらゆるお膳立てがなされたレースは終盤、思いがけない展開を見せる――困難と矛盾をはらんだ「世界最高記録」をめぐる男たちの人間ドラマと、疾走感100%のレース展開を圧倒的な筆力で描ききる、著者渾身の書き下ろし長編!
箱根駅伝を描いたベストセラー『チーム』のその後を描いた、傑作陸上小説。

今年最初に読み始めた本です。テーマは男子マラソン。なんとなく時期が良いかなと思って読みました。
何だかいろんなことを言ってくれてるなぁと思ったのが最初の印象。確かに今は言っては悪いかもしれないけど男子マラソンは低迷しているのかもしれないけど、ここまでお膳立てされている大会に出るというのはすべて理解していたら出場したいとは思わないと思う。自然の状況の中で新記録を出したいっていう山城の意見はある意味ただしい。頑なすぎるけど。
気づかなかったのですが、この本って「チーム」のその後の物語だったんですね。途中山城という名前が出てきて「はて?どこかで聞いたような・・・」と思ったのですが、その作品で出てきた選手でした。
学連選抜で出てきて以降丸くなったのかと思ったらそんなことはぜーんぜんなかったんですね。でもやっぱり登場しました。浦君。山城って人の言うことを全然聞いてこなかったから心を開いた人には意外と純粋に信用するのかもしれないですね。いきなり大会に出ることを決めちゃって拍子抜けしたのだけど。
でも、走っていない私が言うのもなんだけどやっぱりこういう大会はインチキだと思う。綺麗事かもしれないけど、やっぱり日本人が優勝するためにあそこまでするっていうのはやっぱりインチキだと思うんですよねぇ。
山城の走りが凄いのは当然ですが甲本の努力が本当に素晴らしかった。欲を出したって良いよ!20代だもの!まだまだ現役ですって。
って思いながら読んでいたから甲本が大会で意外な行動をした時、音無が「目障りだ」と言ったのがショックだった。箱根を経験したランナーなのに。今まで甲本に寄り添って相談役になっていたわけじゃないのか。と、何だか裏切られた気分でした。
まあ、あれほどのプレッシャーがかかっていたらしょうがないのかなとも思うけど。
色々書いていますが面白かったんです。駅伝好き、マラソン好きには面白く読める本でした。
ただ、最後がちょっと尻切れトンボのような…。ここで終わり〜!?ってすっごくモヤモヤした感じで終わりました。それが残念。
そして話の内容とは関係ないんだけど、実業団タキタの監督。…読めば読むほど某大学の某監督のことのように感じてしょうがなかったのですが…。モデルにしたのかなぁ。

〈実業之日本社 2011.11〉H24.1.3読了