妖怪アパートの幽雅な日常(1) (YA!ENTERTAINMENT)妖怪アパートの幽雅な日常(1) (YA!ENTERTAINMENT)
著者:香月 日輪
講談社(2003-10-11)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

オススメ!
ひとり暮らしの始まりは、妖怪たちのすむ奇妙なアパート――。
違う世界や違う価値観があってこそ、世の中はオモシロイ!
夕士が高校入学と同時に始めた、あこがれの下宿生活。
幼い頃に両親を事故で亡くしたため、早く独り立ちをするのが彼の夢。
ところがそこには、ちょっと変わった、しかし人情味あふれる《住人たち》が暮らしていた……。

同僚の司書さんから面白いよと何度も薦めていただき、さらに何度も借りたんですけど、読まずに返すと言う行動を繰り返していたのですが^^;
ようやく読みました。そして読んだらあっという間でした。
ヤングアダルトというジャンルですし、妖怪たちが住むアパートに転がり込むという展開なので、てっきりもっとわかりやすいと言いますか、楽しく読める?本だと思っていました。
確かに文章は中高生用なので読みやすいのですが、内容は結構重たくてビックリしました。
主人公の稲葉夕士は13歳で両親を亡くし、伯父の家族に引き取られて3年間を過ごしたからか斜に構えていると言うかどこか諦めていると言うか大人びていると言うか。
年以上に大人にならざるを得なかった少年と言う感じでした。
縁あって妖怪たちの住むアパートで半年過ごすことになり、夕士の価値観は何度も何度も覆される。
夕士に心の余裕が生まれてくるのが読んでいても伝わってきました。
同世代の秋音ちゃんや骨董屋さんや詩人さんや画家さんも肝が据わった個性的な素敵な人ばかり。
酸いも甘いも経験してきた人達の格言をたくさん聴いたような気がしました。
るり子さんの料理もとっても美味しそう。るり子さんの境遇と今の生活についてを知った時は何だか涙が出そうでした。
妖怪アパートを出た後の夕士もいろいろ大変でしたね。
読んでいて思ったことは、妖怪よりも生身の人間が1番怖いんだと言うことです。
自分が悪口を言ってるつもりはないのにどこかで誇張されてさらに誰かが本人に伝えてしまうとか、私も何となく経験があります。人を信じられなくなりますよね。
竹中君の件もそう。何か出来たんじゃないかという葛藤って誰にでもあることだと思う。その描かれ方がとても上手いなと思いました。思わず感情移入しちゃいました。
両親は幼くして亡くしてしまったけど、夕士は恵まれていると思います。
秋音さんは懐が大きくて素敵ですし、骨董屋さん詩人さん画家さん龍さん。
そして、長谷君。長谷君も夕士と同様とてもいい子ですね。
ただ長谷君はとても要領が良くて世渡り上手。ここが夕士と違うところでしょうか^^
皆さんがオススメしているのがよく分かりました。
これから10巻までどんどん読んでいきたいと思います。

〈講談社 2003.10〉H23.10.28読了