オーダーメイド殺人クラブオーダーメイド殺人クラブ
著者:辻村 深月
集英社(2011-05-26)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

中学二年のふたりが計画する「悲劇」の行方
親の無理解、友人との関係に閉塞感を抱く「リア充」少女の小林アン。普通の中学生とは違う「特別な存在」となるために、同級生の「昆虫系」男子、徳川に自分が被害者となる殺人事件を依頼する。

ネタバレあります

全体の8割ぐらいまで、読んでいるけどつづきを読みたくないって言う状態が続いてました。
私は学生のこういう感じ、読むのが嫌だ。1ページ目から読むのをためらったくらい。
辻村さんの書かれる学生はこんな感じだったっていうのを忘れてた・・・。最近学生ものを読んでいなかったから・・・。
そもそもアンという主人公の考え方が始めは嫌いでした。芹香や倖という2人の友達と一緒にいるけど、自分を主張する芹香やどっちにもつく倖を見下しているのが分かったし。徳川のことを気になっているのだけど、昆虫系と言っている時点でそういう人をバカにしているような気がするし。
あの親御さんはいつまでも子供を子供としか思ってないような気がするからそこはアンの気持ちは分からなくもなかったけど・・・。自分の秘密はいくら親だからって覗かれたくないよね。
そしてなにより、人の機嫌ばかり伺って、たくさんのルールに縛られているリア充の女子たちに腹が立って、不憫でしょうがなかった。
・・・って、酷評しているようですがそうではありません。
私が中学生の時はここまで計算高い人はいなかったかもしれないけど、中学生という大人でも子供でもない時期をここまで痛く書くことが出来るのが本当に凄いなと思うんです。
そして何より読んでいて不快感を感じたのは自分にもそういう経験があったからなんだと思います。自分が悪いわけではないけど話しかけられなくなったから謝ったりとか、皆が話しかけない人にあえて自分から話しかけなかったなとか。本当に自分の傷口をえぐられているような気がしてそれが嫌なんだと思う。
アンは芹香と倖に再び避けられて自分が死ぬ時を待つようになるのだけど、後半は本当に自分の死を決意していてどうなるんだろうとハラハラしました。
最後はいろいろ展開があったのだけど、私はとても好きなラストでした。
残りの2割はとても好きです。
アンは今生きている世界が嫌になっていたのだけど、そこを過ぎたら世界は広いと思うし、自分が生きていた世界は何て小さくて狭かったんだろうと言うことがわかると思うから、最後はほっとしました。
そして実は・・・って言うところにニヤっとしてしまいました。
「東京の住所、教えて」と言う言葉が微笑ましくて、これから新しい広い世界が始まるんだなという前向きなラストがとても良かったです。

〈集英社 2011.5〉H23.7.27読了