私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)
著者:北山 猛邦
講談社(2011-03-08)
販売元:Amazon.co.jp
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恋のおまじないに囚われた女子高生の物語『恋煩い』、絶海の孤島にある子供たちの楽園の物語『妖精の学校』、孤独な詐欺師と女性をつなぐケータイの物語『嘘つき紳士』、怪物に石にされた幼なじみを愛し続ける少年の物語『終の童話』、七夕の夜空から星座を一つ消した男の子女の子の物語『私たちが星座を盗んだ理由』。これぞミステリの醍醐味全てはラストで覆る。

少しネタバレしてます

いやー・・・。やられました。何だか人間不信に陥りそうです^^;
前日に小路さんの「東京公園」を読んでほのぼのしていたのに、人間関係は真逆の作品だったので、ほんわかとした気分が一気に打ち崩された気がします。
北山さんの作品はちょこちょこ読んでいます。始めに手にした理由は装丁が可愛かったからとか、そんな理由だったと思います。結構装丁は片山若子さんという方が書かれたものが多いんですよね。今回もそうですが。
でもその可愛いイラストとは裏腹に結構グロテスクなものとか人間不信に陥りそうな作品もあります・・・。あ、音野君は別ですが。
で、今回の作品の感想をば。
あらすじのとおり、ラストでどんでん返しが待ってます。展開的には「儚い羊たちの祝宴」のような感じでしょうか。本当にラスト数行で展開がガラリと変わるんです。
「恋煩い」これが1番ラストが怖かったかもしれません。主人公がある人に恋をしていて、てっきりその恋の展開が悪いほうへいっちゃうのか・・・と思ったら自分が考えていたこととは全然違う展開へ。まさかおまじないや占いにあんな意図があったなんて・・・。ラストの2文字が私の脳裏にへばりついて離れません。あーコワカッタ。
「妖精の学校」ラストは主人公はかつての自分を思い出して終わるのかと思ったんですけど、あれ?ここで終わり?という感じでした。でも、主人公の前に逃亡していたクラスメートの変わり様は何だか自分の全てを誰かにコントロールされているようで怖かったです。結局ラストはどう捕らえればよかったんだろうか・・・。
「嘘つき紳士」ラストが衝撃でした。ケータイの落とし主の白井勇樹がただただかわいそう。女って怖い・・・。主人公はまあ・・・どうなってもいいかな(え)
「終の童話」凄く切なかったです。ずっとずっと待っていたのに。でも、彼女の言葉のいうとおりにせず一緒に暮らし続けたのは、ウィミィの心が10歳で止まったままだったからかなと思ったり。結局最後、ウィミィはどうしたんだろう。過去を振り払って、今度は自分の人生を歩んでほしいなと思います。
「私たちが星座を盗んだ理由」姫ちゃんの幼い頃の気持ちは何となく分かります。健康なために自分に振り向いてくれない両親や好きな人。せめて最後に気持ちだけは、伝えさせてあげたかったなぁ。ラストのあまりにもベストタイミングな演出が憎い。

〈講談社 2011.3〉H23.7.21読了