月の上の観覧車月の上の観覧車
著者:荻原 浩
新潮社(2011-05)
販売元:Amazon.co.jp
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守れるはずもないことを、いくつ約束したのだろう。逃げ出した故郷、家族に押しつけた身勝手な夢。いつだってその残酷さに、気付かぬわけでは決してなかった―。月光の差し込む観覧車の中で、愛する人々と束の間の再会を遂げる男を描いた表題作ほか、繰り返せない時間の哀歓を描く著者最高の傑作短篇集。

この作品に登場する主人公は、大事な人を失っていたり、家族から逃げていたり、形は違えどどこか背中に影があるような人ばかり。
そして報われない結末を迎えることが多いのだけど、それでもどこか前向きなような、光が少しだけでも差しているようなそんな気にさせてくれる作品が多かったです。
8編は短編で全くかぶっていないのだけど、どこか連作のようなつながりを感じます。
どの人たちも家族を大切にしているのだけど、その想いが夫婦間で分かち合えなくて心が離れてって、何だかとてもリアルに感じました。
愛情って人それぞれの形があると思うので。
私が好きだったのは「レシピ」ですね。主人公の作って来た料理たちが文章だけでもおいしそうなのが伝わってきました。しかも、オチがそうきたか・・・と驚き。でも、そんなことされたら私もきっとそうする。

〈新潮社 2011.5〉H23.7.10読了