もう誘拐なんてしないもう誘拐なんてしない
著者:東川 篤哉
文藝春秋(2008-01)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

俺が、おまえを誘拐してやろうか?ひょんなことからヤクザの組長の娘を誘拐する羽目になった翔太郎。関門海峡を挟んで、脱力感あふれる青春が、小気味よい九州弁が、驚愕のミステリーが炸裂する。とびきりキュート、空前の身代金トリック。

今回はノンシリーズを読みました。日頃会っている人たちが登場しないからか気持ち的にはテンション低めで読み始めたのですが^^;
やはりそこは東川作品。ギャグっぽい感じがまた良くってあっという間に読んでしまいました。狂言誘拐が成功するのかと始めはちょっとドキドキしていたのですが、狂言誘拐はわりとあっさり落ち着いて^^;その後の事件に度肝を抜かれました。まさかあんな展開になろうとは。
始めはミステリ要素がなかったのでそういう作品だと思ってたんです。それでも中盤からミステリっぽくなってきていつもの東川さんの作品のような感じになってきてトリックとかが登場して。やっぱり東川作品はこうでなくてはいけません。
ただ単に楽してお金を得ようとしてたこ焼き屋を一時的に始めたところから全てが始まった翔太郎にとっては本当に現実世界とは思えない数日間だっただろうなと思います。
でも、巻き込まれたとは言え何とかしてやりたいと思い「お前を誘拐してやろうか?」なんて言えませんよ。4回も誘いを断れたけどめげるな翔太郎^m^
最後の死闘?も相手がヤクザなのに良く頑張りましたよね。余計なものが引っ付いていましたけど^m^それでもとってもかっこよかったと私は思います。
翔太郎の先輩である甲本もいい味出していましたね。方言もさることながら何かやらかすか何かするだろうとは思っていましたが、まさに事件のキーマンだったと思います。
皐月おねえちゃんもかっこよかったです。キャラ的には1番好きだったかも。
「お嬢」なんて呼ばれているから、もう頭の中には某マンガの某組長の孫で先生でもある女性が思い浮かびましたけども。
冷静沈着で頭もいい。お父さんなんかよりもよっぽど組をまとめるのに向いていると思います。
とっても面白かったのだけど、ラストがあっさりしすぎてるかなと思いました。
翔太郎と絵里香の事もそうだし、組のことだってそうだし、絵里香の妹の詩緒里の事とか全部なかったのでもうちょっとその後を書いても良かったんじゃないかなと思いました。
それ以外は良かったですよ〜。面白かったです^^

〈文芸春秋 2008.1〉H23.6.11読了