密室の鍵貸します (カッパ・ノベルス―カッパ・ワン)密室の鍵貸します (カッパ・ノベルス―カッパ・ワン)
著者:東川 篤哉
光文社(2002-04)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
しがない貧乏学生・戸村流平にとって、その日は厄日そのものだった。彼を手ひどく振った恋人が、背中を刺され、4階から突き落とされて死亡。その夜、一緒だった先輩も、流平が気づかぬ間に、浴室で刺されて殺されていたのだ!かくして、二つの殺人事件の第一容疑者となった流平の運命やいかに?ユーモア本格ミステリの新鋭が放つ、面白過ぎるデビュー作。

ネタバレしてます

順番を間違えて烏賊川市シリーズの第2弾「密室に向かって撃て!」から読んでしまったのですが、こちらが最初。この作品が、東川さんの長編デビュー作なんですね。
この本の新書版が、まず1ページめくったところから面白いんです。有栖川さんの解説がついているのですが「最近、ミステリを出汁に書かれた面白いのか面白くないのか分からないミステリが多い」といきなり書かれていて笑いました^^;
この作品は面白かったですよ!
まあ、第2弾に結構なネタバレが書かれていたので知っていたこともあったのですが、事件についてはもちろん知らなかったので、戸村が一体どんな状況でピンチに陥ったのかが分かってよかったです。
いや〜本当にピンチだったんですね^^;大ピンチだ。
しかも警察に捕まって無実の罪をかぶったのかと思ったら、本当に紙一重ではありましたけど、警察の目を潜り抜けて捜査をしていたんですね。
第2弾が、鵜飼探偵が大活躍だったので今回もそうなのかなぁと思ったらまさかの砂川警部が事件の真相を話し始めたから驚きました。確かに2冊目での探偵の評価って低かったような・・・。
砂川警部が戸村の言葉を聞いて真相に気付いてくれなかったら、戸村が犯人になってましたよ。よかったね、ちゃんと耳を傾けてくれて。
トリックには驚きました。あんな緻密な計画が動いていたとは。
同じ「殺戮の館」なのに、面白くないものと面白いものがあるなんていう考えが全く思い浮かびませんでしたよ〜。東川さん凄い。
そして事件の動機がまさか戸村の代わりに殺人を行ったとは・・・ビックリだ。
これは戸村の酒癖が悪いのが元凶では^^;
茂呂先輩、多分ナイフを抜かなかったら助かっていたと思うな。中学の保健の授業で習った事があるんです。もし刺されたら絶対に抜いてはいけないと。そのままの状態だと血があまり出ていないので助かる可能性が高いと。でも、抜いてしまうとその衝撃で血が大量に出るので、そこで出血多量で死んでしまう可能性が高くなってしまうそうです。
だから、もし刺されたらナイフはそのままで病院へ行くんだぞというよく分からないアドバイスを貰った事があります^m^いつ活用できるんだ、そのネタは。
自分には全く利益のないことをして完全犯罪を試みたのにあんな結果になってしまって、何だか先輩がもの凄くかわいそうに感じてしまった。

〈光文社 2002.4〉H23.5.26読了